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   ■商標関連情報INDEX
【1】商標制度・出願について
【2】商標調査Q&A、商標出願Q&A、商標権の書換Q&A
【3】審査・法令情報
【4】判例情報
商標調査・登録サポートサービスはこちらから



   【1】商標関連情報
(1)商標制度・出願について
商品を製造・販売したり、サービスを提供する企業は、自社の取り扱う商品・サービスに決まったネーミングやマークを継続的に使用することにより、自社の商品・サービスを、他社の商品・サービスと区別して、需要者に記憶してもらおうと努力しています。このように、商標には、自社の商品・サービスを、他社の商品・サービスから区別する機能(自他商品等識別機能)があります。

また、日頃、私たちが商品を購入したり、サービスの提供を受けるときに、商品やサービスに付随する物に良く知っている商標が表示されていると、その商品・サービスの内容を詳細に確かめなくても、安心して商品を購入したり、サービスの提供を受けることができます。これは、需要者は、同じ商標を付けた商品・サービスは、通常は、同じ会社が製造・販売やサービスの提供を行っていると信頼しているからで、このような商標の機能を出所表示機能と呼んでいます。

上記2つの機能に、品質保証機能と広告・宣伝機能を併せて、商標には、4つの機能があると一般に言われていますが、わが国では、特許庁に商標を出願し、審査の結果、所定の登録要件を満たしていると判断されて、登録料を納付すると、商標権が発生します。
そこで、まず、ここでは、ブランド及び商標制度について概観してから、商標権取得の流れと効力について説明します。また、併せて、商標と他の知的財産権との違いと、最近の法改正について説明いたします。

(1)ブランドについて

(2)商標制度

(3)商標権取得の流れと効力

(4)商標と他の知的財産権との違い

(5)商標の分類とその改正について        

(6)平成18年意匠法・商標法等の改正について

(7)意匠権の存続期間の延長と小売業等の商標のサービスマークとしての保護について

(8)小売業の商標のサービスマークとしての保護について

(9)地域ブランドの保護について

(10)ブランドの保護について        

(11)歴史上の人物名からなる商標出願について

(12)会社・店舗・商品のネーミングにかかわる法律問題について〜起業に際してのネーミングの法的リスクの実際〜


(13)色彩のみからなる商標の出願状況について〜 *NEW*


(14)買物代行業と小売役務商標の侵害事例について〜東京地裁 H27.1.29 判決(判例時報2249号86頁)〜 *NEW*
        

(2)商標権の維持について
商標権の存続期間は設定登録の日から10年ですが、必要な権利については一定期間内に更新手続をとることにより、さらに10年間、権利を維持し続けることができます。
ここでは、ご質問の多い指定商品の書換の制度について、Q&Aの形式でご説明させて頂きます。

(1)指定商品の書換について

(3)商標権の侵害について
商標権を取得すると、指定商品又は指定役務について登録商標を独占排他的に使用できるとともに、登録商標の類似範囲については、第三者の使用を排除することができます。自己の商標に蓄積された信用を保護するためには、正当な権原のない第三者による登録商標の使用を排除する必要があります。
商標権の効力については、1(3) 商標権取得の流れと効力のところで概観しましたので、ここでは、平成11年の法改正で創設された商標の金銭的請求権についてご説明いたします。

(1)商標の金銭的請求権について

(2)海外向け販売と商標権侵害

(3)メタタグにおける他社商標の使用と商標権侵害

(4)無効な登録商標の使用と権利濫用法理(モズライト商標をめぐる2つの裁判)

(4)外国での権利取得について
日本で取得した商標権の効力は、日本国内における商標の使用行為に対してのみ及ぶため、自社商品を外国に輸出して販売する場合等は、その国で商標権を取得しなければ、商標権による保護を図ることができません。そのためには、現地の代理人と連絡を取り、その国ごとに出願手続を行う必要があります。
しかし、平成12年3月14日より、わが国でもマドリット・プロトコルによる商標の国際登録出願の受付が始まりました。ここでは、マドリット・プロトコルによる国際登録出願の手続についてご説明いたします。

(1)マドリッドプロトコルの概要



   【2】商標調査Q&A、商標出願Q&A、商標権の書換Q&A
(1)商標調査Q&A
商標調査をする際に必要となる「類似群コード」の意味や、商品商標か役務商標かの区分けが微妙なコンピュータプログラムについての考え方をQ&A形式でまとめたものです。

(2)商標出願Q&A
出願中で未登録の商標を使用する場合の注意点や、図形と文字の結合商標の出願を検討する場合の注意点等について、Q&A形式でまとめたものです。

(3)商標権の書換Q&A


   【3】審査・法令情報
・ 小売等役務商標制度の導入に伴う商標審査便覧の改正(使用意思確認の基準策定)
1区分内において、8以上の類似群コードにわたる商品又は役務を指定している場合は、原則として、商品又は役務の指定が広範な範囲に及んでい るものとして、商標法3条1項柱書き違反の拒絶理由を通知し、出願人に対して商標の使用又は使用の意思の確認を行うことが公表されました。こ の運用は平成19年4月1日以降の出願に対して適用されます。        
・ 小売等役務商標制度導入等に伴い「商標審査基準」が改正
小売業者等の商標を役務商標として保護する制度を導入することなどの商標法の一部改正を含む「意匠法等の一部を改正す る法律」が、平成19年4月1日より施行されることに伴い、改正された「商標審査基準」が、平成18年12月28日に公 表されました。  産業構造審議会知的財産政策部会の報告書「商標制度の在り方について」において、出願人の商標の使用意思の確認の強化 や当事者の取引実情を踏まえた審査に関する運用の改善が指摘されていることを踏まえ、改正された審査基準では、1区分内 での商品又は役務の指定が広範な範囲に及んでいるため、指定商品又は指定役務について商標の使用又は使用の意思があるこ とに疑義がある場合は、商標法第3条第1項柱書き違反の拒絶理由を通知し、出願人に商標の使用又は使用意思を確認するこ とが明記されました。  改正された審査基準は、平成19年4月1日以降にされた商標登録出願より施行されます。        
・ 「類似商品・役務審査基準」の改正
平成19年1月1日以降の出願に適用される「類似商品・役務審査基準【国際分類第9版対応】」が特許庁HPで 公表されました。なお、改正法に係る第35類の小売業等に係る役務についての改正部分は、平成19年4月1日以降の出願から適用されます。        
・ 「意匠法等の一部を改正する法律案」が可決・成立
小売業者等が使用する商標について役務商標として保護する制度を導入すること等の 商標法の一部改正を含む「意匠法等の一部を改正する法律案」が平成18年6月1日 に可決・成立し、6月7日に法律第55号として公布されています。なお、小売業等 の商標の保護の拡充についての改正の施行期日は、公布日から起算して1年を超えな い範囲内において政令で定める日から施行することとなっており、追って政令が公布 されたときに明らかになります。        
・ 「意匠法等の一部を改正する法律案」が閣議決定
平成18年3月7日付の「意匠法等の一部を改正する法律案」の第4条において、
@小売業者等が使用する商標について役務商標として保護する制度を導入すること、
A団体商標の主体を見直し、広く社団(法人格を有しないもの及び会社を除く)も 主体となることを可能とすること、などを主な内容とする商標法の一部改正が 閣議決定されました。        
・ 商標審査便覧の改訂
商標法の一部を改正する法律(平成17年法律第56号)において平成18年4月1 日から地域団体商標制度が導入されることを機に、「商標審査便覧」の見直しが行わ れています。        
・ 商標法施行規則等の一部を改正する省令が公布
商標法の一部を改正する法律(平成17年法律第56号)において、地域団体商標制 度が導入されたことに伴い、関連する省令の整備が行われました。改正された省令 は、平成18年4月1日から施行されます。        
・ 日・米・欧三庁が合意した指定商品・役務の英語表示が更新
日本国特許庁、米国特許商標庁及び欧州共同体商標意匠庁の三庁は、商標権を取得す る出願人の手続負担の軽減等に資することを目的として、商標三極会合において「商 品役務表示便覧プロジェクト」を作り、三庁が受け入れ可能な約7000件の指定商 品・役務の英語表示について合意し、「三庁リスト」として公表しています。200 6年1月25日付で、新たに3560件のデータが追加されています。        
・ 商標法4条1項17号の蒸留酒の産地として、「しょうちゅう」の産地「鹿児島県」 が指定される
日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する 標章を有する商標であって、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留 酒について使用する商標は、商標法4条1項17号の規定に該当して商標登録を受け ることができませんが、平成17年12月28日付で、「しょうちゅう」についての 産地として「鹿児島県」が指定されました。        
・ 「商標審査基準」が改正
地域団体商標制度を導入するための「商標法の一部を改正する法律」が平成18年4月1日より施行されることに伴い、パブリックコメント手続において寄せられた意見も考慮して、「商標審査基準」が改正されています。改正された商標審査基準は、平成18年4月1日以降の出願に適用されます。        
・「マドリッドプロトコル加盟国一覧」が更新
2005年12月15日付でバーレーンが加盟国に加わることに伴い、「マドリッドプロトコル加盟国一覧」が更新されています。        
・特許庁が 「標章の図形要素の細分化ウイーン分類表(ウイーン分類第5版準拠第2版)」を公開
図形商標の審査について、我が国では、平成16年3月末までは独自の分類体系が採 用されていましたが、平成16年4月より、国際的に広く採用されている「ウィーン 分類」の体系が採用されています。この度、特許庁は、平成16年2月9日に公表し た「標章の図形要素の細分化ウィーン分類表(ウィーン分類第5版準拠 第1版)」 を改訂し、誤字脱字等の微修正に併せ、例示図形も若干追加した「標章の図形要素の 細分化ウィーン分類表(ウィーン分類第5版準拠 第2版)」を作成し、ホームペー ジ上で公開しています。        
・「商標法の一部を改正する法律の施行に伴う商標法施行令の規定の整理及び経過措置に関する政令」が公布
商標法の一部を改正する法律(平成17年法律第56号)の施行に伴い、商標法施行令が改正され、地域団体商標の出願日を改正法の施行日とみなす等の経過措置が定められています。この政令は、7月13日付で公布され、平成18年4月1日から施行されます。        
・「商標法の一部を改正する法律案」が可決・成立
「地域ブランド」の保護のため、地域団体商標制度(商標法7条の2)を新設する「商標法の一部を改正する法律案」が平成17年6月8日に可決・成立し、6月15日に法律第56号として公布されています。この法律は、平成18年4月1日から施行されます。        
・マドリッドプロトコル個別手数料一覧表が更新
グルジアとノルウェーが、マドリットプロトコルによる国際商標出願の個別手 数料を改定したことに伴い、特許庁ホームページに掲載されている個別手数料一 覧表が5月10日付で更新されています。グルジアについては2005年6月1 6日より、ノルウェーについては2005年8月19日より、新しい手数料が適 用されます。        
・日・米・欧三庁が合意した指定商品・役務の英語表示が更新
日本国特許庁、米国特許商標庁及び欧州共同体商標意匠庁の三庁は、商標権を取得する出願人の手続負担の軽減等に資することを目的として、商標三極会合において「商品役務表示便覧プロジェクト」を作り、三庁が受け入れ可能な約7000件の指定商品・役務の英語表示について合意し、「三庁リスト」として公表しています。2005年4月10日付で、「三庁リスト」の第1類、第25類、第35類及び第42類の内容が更新されています。        
・歴史上の人物名等の商標審査の方向性について
歴史上の人物名等の商標を全く関係のない第三者が商標登録して独占的権利を取得することについては、郷土やゆかりの地における 地域興し等の地域産業に悪影響を及ぼしかねない、さらに、故人の名声や名誉を傷つけ遺族の感情を害する等の懸念も指摘されてい るところ、近時、このような商標を商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当するとした審決や判決があることを踏まえ、特許庁 は、歴史上の人物名等に係る商標登録出願に関する商標法4条1項7号の審査基準を策定する方向で検討しています。        
・ 商標取消・無効審判の請求の趣旨中の「・・・及びこれに類似する商品」の取り扱いについて
取り消しを求める指定商品と類似する指定商品が登録商標に残っているかが不明確な場合、実務上、審判請求書の請求の趣旨に 「・・・及びこれに類似する商品」と記載して取消しを求めることがありますが、昨年、知財高裁において、かかる請求の趣旨 の記載を許すことは、審決が確定した場合に登録商標の効力の及ぶ範囲が不明確となり法的安定性を害するので、審判の手続中 で是正を求めるべき、との附言を呈する判決が3件なされました。 これを受けて、特許庁は、2008年10月1日より、請求の趣旨に「・・・及びこれに類似する商品」の表示をした審判請求については、 方式審理の段階で、手続補正指令の対象とするよう運用を変更しました。        
・ 商標早期審査・早期審理の対象拡大について
「出願人又はライセンシーが、出願商標を既に使用している商品・役務又は使用の準備を相当程度進めている商品・役務のみを指定している出願・審判事件」について、商標早期審査もしくは早期審理ができるようになりました。平成21年2月1日以降に提出される早期審査・早期審理の申出から適用されています。        
・ エジプトがマドリッド・プロトコルに加盟
エジプトは、2009年6月3日、「標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書」(マドリッド・プロトコル)への批准書を世界知的所有権機関(WIPO)に寄託しました。エジプトのマドリッド・プロトコルへの加盟は2009年9月3日より効力を生じています。        
・ 商標審査便覧の改正
商標審査便覧に「42.107.04 歴史上の人物名(周知・著名な故人の人物名)からなる商標登録出願の取扱いについて」を追加する改訂が行われました。現在審査係属中の出願も同審査便覧に基づいて審査されます。        
・ イスラエルがマドリッド・プロトコルに加盟 *NEW*
イスラエルは、2010年5月31日、「標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書」(マドリッド・プロトコル)への加入書を、世界知的所有権機関(WIPO)事務局長に寄託しました。イスラエルのマドリッド・プロトコルへの加盟は2010年9月1日より効力を生じています。        
・ カザフスタンがマドリッド・プロトコルに加盟 *NEW*
カザフスタンは、2010年9月8日、「標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書」(マドリッド・プロトコル)への加入書を、世界知的所有権機関(WIPO)事務局長に寄託しました。カザフスタンのマドリッド・プロトコルへの加盟は2010年12月8日より効力を生じます。        

・武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」附則第9条において、商標法第4条第1項第4号が改正されたことに伴い、同号の商標審査基準が改正され、9月17日以降の審査に適用されています。
  具体的には、商標法第4条第1項第4号に該当する不登録標章として、オレンジ色地に青色の正三角形の標章が、追加されています。
(特許庁ホームページのこちらのPDFファイルを参照。)
  なお、本改正は、経過措置が設けられていないため、現在係属中の出願についても、改正後の法律及び改正後の商標審査基準が適用されます。


   【4】判例情報
H22.11.16 知財高裁 平成22(行ケ)10169 商標審決取消請求事件 *NEW*
第29類「乳酸菌飲料」を指定商品とし、乳酸菌飲料の容器の立体的形状のみからなる商標について、発売開始以来40年以上も容器の形状を変更することなく販売が継続され、その間、本件容器と類似の形状を有する数多くの乳酸菌飲料が市場に出回っているにもかかわらず、最近のアンケート調査においても、98%以上の需要者が本件容器を見て「ヤクルト」を想起すると回答していることなどを総合的に勘案し、使用によって自他商品識別 力を獲得しているとして、商標法3条2項の適用が認められた事例。
H22.11.15 知財高裁  平成21(行ケ)10433 商標審決取消請求事件 *NEW*
第43類「福島県喜多方市におけるラーメンの提供」を指定役務とする地域団体商標「喜多方ラーメン」について、福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間で、原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして広く認識されているとまでいうことはできないと判断され、拒絶査定不服審判の請求を不成立とした審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H22.10.21 東京地裁 平成21(ワ)25783 販売差止等請求事件 *NEW*
被告商品「クッション」に、「ドーナツ」と「クッション」の文字を上下二段に配置した構成からなる被告標章1を使用したり、同被告商品が掲載されたウェブサイトやカタログに「ドーナツクッション」の文字よりなる被告標章2を使用する行為は、被告標章1,2からは、中央部分に穴のあいた円形又は輪形の形状のクッション等の観念が生じるものと認められるから、本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないと判断され、「ドーナツ」の文字よりなり第20類「クッション,座布団,まくら」等を指定商品に含む原告商標権を侵害するものとはいえないとして、被告商品の販売の差止め等を求めた原告の請求が棄却された事例。
H22.9.27 知財高裁 平成22(行ケ)10102 商標審決取消請求事件 *NEW*
第14類「身飾品,時計,貴金属」等を指定商品とする本件商標「WORLD」は、「WORLD」の文字と「collezione」の文字を上下に二段書きた態様の引用商標2、「WORLD ONE」の文字よりなる引用商標4とは、いずれも類似しないと判断され、拒絶査定不服審判の請求を不成立とした審決が取り消された事例。
H22.8.31 東京地裁 平成21(ワ)123 損害賠償請求事件 *NEW*
被告商品は、原告以外の者が原告の許諾に基づかずに製造した偽造品か、又は、原告が製造した商品のうち、原告の品質管理基準を満たさないために当初から流通に置くことなく廃棄等の処分をされる予定であった二級品が何らかの経過によって流出したものであることが認められるから、いずれにしても、原告の意思に基づいて流通に置かれた真正商品とはいえないと判断され、商標法38条3項に基づく使用料相当額の損害賠償請求が認容された事例。
H22.8.19 知財高裁 平成21(行ケ)10297 商標審決取消請求事件 *NEW*
被告の本件商標「Asrock」の出願は、ASUSTeK社若しくはASRock社が商標として使用することを選択し、やがて我が国においても出願されるであろうと認められる商標を、先回りして、不正な目的をもって剽窃的に出願したものと認められるから、出願当時、標章「ASRock」が周知・著名であったか否かにかかわらず、本件商標は商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当すると判断され、無効審判の請求を不成立とした審決が取り消された事例。
H22.7.12 知財高裁 平成21(行ケ)10404 商標登録取消決定取消請求事件 *NEW*
シーサーの図形及び「SHI−SA」の文字等からなる本件商標について、図案化された「シーサー」の文字よりなる引用商標Aとは類似せず、プーマの図形及び「PUMA」の文字よりなる補助参加人所有の引用商標Cとの関係では商標法4条1項15号及び同19号のいずれにも当たらないと判断され、本件商標の登録を取り消した異議決定が取り消された事例。
H22.5.19 知財高裁 平成21(行ケ)10351 商標審決取消請求事件 *NEW*
第41類「声優の適性能力の検定,声優の適性能力の検定試験の企画・運営・実施」を指定役務とする本件商標「声優検定」は、商標法3条1項3号に該当すると判断され、本件商標の登録を無効とした審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H22.5.12 知財高裁 平成21(行ケ)10414 商標審決取消請求事件 *NEW*
指定商品を第32類「カエデの木から採取した樹液を原料とするシロップ」から、第30類「メープルシロップ」に補正することは、商標法9条の4所定の「要旨の変更」に当たらず、そのことを前提に無効審判の請求を不成立とした審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H22.4.27 知財高裁 平成21(行ケ)10152 商標審決取消請求事件 *NEW*
第25類「被服」等を指定商品とする本件商標「POLO JEANS CO./RALPH LAUREN」は、「被服」等を指定商品とし「POLO」の文字よりなる引用商標とは類似しないと判断され、本件商標の登録を無効とした審決が取り消された事例。
H22.4.14 知財高裁 平成21(行ケ)10354 商標審決取消請求事件 *NEW*
多数のリンクにより直接、原告のウェブサイトの商品カタログのページで原告商品の写真等を閲覧することができる仕組みになっているメールマガジン等に標章「クラブハウス」を表示する行為は、指定商品を「加工食料品」等とする本件商標「CLUBHOUSE/クラブハウス」の使用に当たると判断され、本件商標の登録を取り消した審決が取り消された事例。
H22.3.29 知財高裁 平成21(行ケ)10229 商標審決取消請求事件 *NEW*
第30類「コーヒー,コーヒー豆」を指定商品とする本件商標「イルガッチェフェ」について、商標法3条1項3号には当たらないが、商標法4条1項16号(商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標)には当たると判断され、指定商品全部を無効とした審決のうち、指定商品「エチオピア国イルガッチェフェ(YIRGACHEFFE)地域で生産されたコーヒー豆,エチオピア国イルガッチェフェ(YIRGACHEFFE)地域で生産されたコーヒー豆を原材料としたコーヒー」に関する部分が取り消された事例。
H22.3.17 知財高裁 平成21(行ケ)10328 商標審決取消請求事件 *NEW*
第38類「携帯電話による通信」を指定役務とする本件商標「berry mobile」は、「移動体電話による通信」等を指定役務とし「BlackBerry」の文字部分を含む引用商標とは類似すると判断され、無効審判の請求を不成立とした審決が取り消された事例。
H22.1.27 知財高裁 平成21(行ケ)10270 商標審決取消請求事件 *NEW*
「BOUTIQUE 9」の文字を標準文字で表し、第14類「宝飾品,身飾品」、第18類「ハンドバッグ」、第25類「帽子,その他の被服,履物」等を指定商品とする本件商標は、商標法3条1項6号に該当すると判断され、拒絶査定不服審判の請求を不成立とした審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H21.11.12 東京地裁 平成21(ワ)657 商標使用差止等請求事件
被告書籍の題号「朝バナナダイエット成功のコツ40」における被告標章「朝バナナ」の表示は、自他商品識別機能ないし出所表示機能を有する態様で使用されていると認めることはできないから、「朝バナナ」の文字よりなり「書籍」を指定商品に含む原告商標権を侵害するものとはいえないとして、被告書籍の販売の差止め等を求めた原告の請求を棄却した事例。
H21.9.3 大阪地裁 平成20(ワ)13503 商標権侵害差止等請求事件
買戻特約付きで商標権の譲渡を約した覚書に買戻しの始期が定められていない場合、原告の買戻請求権は本件合意時から行使可能であったと認定した上で、買戻請求権は一方的な意思表示により法律効果を発生させる形成権ではあるが、債権に準じるものとして消滅時効の規定の適用を受けると解すべきであるから、株式会社である原告の商行為により生じた買戻請求権は、本件合意がされた日から5年を経過することにより時効消滅したといえるとして、商標権の移転手続を求めた原告の請求を棄却した事例。
H21.8.27 知財高裁 平成20(行ケ)10415 商標審決取消請求事件
「米国カリフォルニア州製のギター」を指定商品とする本件登録商標「M図形/mosrite/of California」と同一の引用商標が本件商標の出願時及び登録査定時のいずれの時点においても米国人セミー・モズレー又はその関係会社が製造するギターを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認められるから、本件商標は商標法4条1項10号に該当すると判断されて、無効審判の請求を認容した審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H21.7.23 東京地裁平成18(ワ)26725等 商標権侵害差止及び不存在確認等請求事件
新米国コンバース社と本件商標権者である原告伊藤忠との間には、法律的にも経済的にも同一人と同視し得るような関係は認められないから「同一人性の要件」を充たさず、また、原告伊藤忠は直接的にも間接的にも新米国コンバース社の商品の品質管理を行い得る立場にあるとは認められず、かつ、新米国コンバース社の商品と原告らの商品とが実質的に差異がないと認めることもできないから「品質管理性の要件」も充たさないとして、新米国コンバース社から輸入した真正商品であるから違法性がないとする被告主張の並行輸入の抗弁は認められないと判断された事例。
H21.7.21 知財高裁 平成21(行ケ)10023 商標審決取消請求事件
指定商品を「キムチ」とする縦書きの「こくうま」の文字よりなる被告の登録商標は、「こくがあってうまい」というキムチの品質それ自体を表示するものと認識されるとまでいうことはできないから、その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)に当たるとは認められず、無効審判の請求を棄却した審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H21.7.16 大阪地裁 平成20(ワ)4733商標権侵害差止等請求事件
「高品質の,高級な,高価な」を意味する英単語である「Premium」は、被告標章「Premium by LAST SCENE」の使用が開始されたころにおいては既に商品や役務の出所を示すものとして強い印象を与える言葉ではなくなっていたものと認められるから、被告標章は、「Premium」の部分だけを抽出して本件登録商標「プレミアム/PREMIUM」と比較して類否を判断することは許されず、被告標章全体と対比すれば本件登録商標と類似するとはいえないと判断されて、被告標章を付した被服の販売差止め等を求めた原告の請求が棄却された。
H21.7.2 知財高裁 平成21(行ケ)10052 商標審決取消請求事件
指定商品を「菓子及びパン」とする「天使のスィーツ」の文字よりなる被告の登録商標は、「菓子及びパン」を指定商品に含み「エンゼルスィーツ」及び「Angel Sweets」を上下二段に表した原告の引用登録商標と、観念において類似すると判断され、無効審判の請求を棄却した審決が取り消された。
H21.6.25 知財高裁 平成20(行ケ)10482 商標審決取消請求事件
転売商品の包装袋に本件登録商標「忠臣蔵」の文字が表示されたラベルを貼付して宅配便で顧客に送付する行為について、同行為は指定商品「米」の包装に「標章」を付する行為に当たるということができるから、商標権者による本件登録商標の使用の事実が認められるとして、不使用取消審判の請求を認容した審決を取り消した事例。
H21.5.28 知財高裁 平成20(行ケ)10351 商標審決取消請求事件
「ISO−Mount−Extender」と「ISOマウントエクステンダー」の文字を上下に二段書きしてなり、第7類「地震による転倒・損壊から美術品・文化財等を保護するための免震装置」等を指定商品とする商標について、国際標準化機構を表示する著名な標章「ISO」と類似するから、商標法4条1項6号に該当すると判断した特許庁の審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H21.5.28 知財高裁 平成20(行ケ)10439 商標審決取消請求事件
「眼鏡」を指定商品とする本願商標「Factory900」について、「900」の数字部分は、必ずしも商品の型式、規格等を表示するための記号、符号と認識されるとは限らず、また必ずしも本願商標のうち「FACTORY」の部分のみが識別力が高いということはできないと判断され、引用商標「SAPPORO/Factory」と類似するとした特許庁の審決が取り消された。
H21.4.8 知財高裁 平成20(行ケ)10363 商標審決取消請求事件
本件商標の出願及び登録査定時において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき、取引者・需要者が原告又はその関連する会社が発行する雑誌等に付される商標と考えることがあったとは認め難く、本件商標は商標法4条1項15号に違反して登録されたものではないと判断され、無効審判の請求を棄却した特許庁の審決が維持された事例。
H21.2.24 知財高裁 平成20(行ケ)10347 商標審決取消請求事件
本件使用表示「ELLE/GARDEN」は引用商標「ELLE」に類似するものの、本件コンパクトディスク等における具体的表示態様は被告の業務に係る商品等と混同を生じさせるおそれを有するものとはいえないと判断され、商標法51条1項(不正使用による商標登録の取消し)該当性を否定して、特許庁がした商標登録取消審決が取り消された。
H21.2.10 知財高裁 平成20(行ケ)10311 商標登録取消決定取消請求事件
本件商標に接する取引者・需要者は「PUMA」ブランドのピューマを連想することがあるとしても、本件商標を「PUMA」ブランドの商標とまで誤って認識するおそれはないというべきと判断され、商標法4条1項11号該当性を否定して、特許庁がした商標登録取消決定が取り消された事例。
H20.12.17 知財高裁 平成20(行ケ)10139 商標審決取消請求事件
頭頂部の髪と思しき部分が尖り、パッチリとした大きな目をした幼児の頭部を描いた図形からなる本件商標は、その特徴的容姿が我が国においても周知となっていた「キューピー」のキャラクターの特徴と符合し、「キューピー」の称呼及び観念が生じるものであるから、原告所有の引用商標とは類似すると判断され、無効審判の請求を棄却した特許庁の審決が取り消された。
H20.11.7 大阪高裁 平成19(ネ)3057等 商標権侵害差止等請求控訴,同附帯控訴事件
「性的用途に用いる化粧品」に使用する被告標章「Love cosmetic」「ラブコスメティック」は、全体を一体として要部となるとみるのが相当であるから、「化粧品」を指定商品とする原告商標「LOVE」、「ラブ」等とは類似せず、また、被告商品と原告商品の需要者が重複するとも認められないから、出所を誤認混同するとはいえないと判断され、原判決を取り消して一審原告の請求を棄却した事例。
H20.10.2 大阪地裁 平成19(ワ)7660 商標権侵害差止等請求事件
節分用の巻きずしに使用する被告標章「十二単の招福巻」は、第30類「すし」等を指定商品とする原告商標「招福巻」に類似するものであり、「招福巻」が節分用の巻きずしの普通名称又は慣用商標とも認められないとして、被告標章の使用等の差止め及び損害賠償が認定された事例。
H20.9.8 最高裁第二小法廷 平成19(行ヒ)223 商標審決取消請求事件
「土人形および陶器製の人形」を指定商品とする本件商標「つつみのおひなっこや」と、 「土人形」を指定商品とする引用商標「つゝみ」、「堤」について、「つつみ」の文字部分だけを比較して類否を判断することは許されず、 全体を対比すれば、両商標を類似する商標ということはできないとして、原判決を破棄し、審理を知財高裁に差し戻した判例。
H20.8.29 知財高裁 平成19(行ケ)10277  商標審決取消請求事件
被告は、不使用取消審判の予告登録前3年以内に日本国内において商標権者である被告、専用使用権者又は通常使用権者のいずれか が本件商標を使用していたことを証明していないと判断され、取消審判の請求を棄却した特許庁の審決が取り消された。
H20.7.30 知財高裁 平成19(行ケ)10387 商標審決取消請求事件
「オレンジチェリー」の文字よりなる商標を、その指定商品「果実」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、後半部分の 「チェリー」の文字からその商品が「さくらんぼ」であると認識、理解するものであるから、本願商標は、その指定商品中「さくら んぼ」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある商標というべきであると判断され、商標法4条 1項16号を適用して登録を拒絶した審決が維持された事例。
H20.5.29 知財高裁 平成20(行ケ)10041 商標審決取消請求事件
第31類「岩手県産キャベツ」を指定商品とし、「岩手春みどり」の文字を標準文字で表してなる商標は、その登録査定時において 既に被告の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた引用商標「いわて春みどり」と類似する商標であ り、引用商標の対象商品である「岩手県産キャベツ」と同一の商品について使用するものであるから、商標法4条1項10号に該当 し、無効とされるべきものであると判断した事例。
H20.5.29 知財高裁 平成19(行ケ)10215 商標審決取消請求事件
第32類「コーラ飲料」を指定商品とし、コーラ飲料の容器の立体的形状のみからなる商標について、当該形状を備えたリターナブ ル瓶入りの原告商品の長年にわたる一貫した使用の事実、大量の販売実績、宣伝広告の事実、当該商品の形状が原告の出所を識別す る機能を有しているとの調査結果などを総合的に勘案し、使用によって自他商品識別機能を獲得したものというべきであるとして、 商標法3条2項の適用が認められた事例。
H20.4.9 知財高裁 平成19(行ケ)10341 商標審決取消請求事件
商標の不正使用者が商標法53条1項にいう通常使用権者に当たらないことを理由に不正使用取消審判の請求を不成立とした審決の 取消を請求した事案であるが、被告と不正使用者との間には、被告が本件商標に係る商標権を第三者からの移転により取得したとき と同時に、又はその後間もなく、本件商標についての使用許諾契約が明示的又は黙示的に締結されたものと推認することができると して、審決が取り消された。
H20.3.19 知財高裁 平成19(ネ)10057、同10069 商標権侵害差止等請求控訴及び付帯控訴事件
「ELLE」の文字からなる著名な原告商標と、ロックバンドの名称を表示する「ELLEGARDEN」の文字からなる被告標章 との類否について、被告標章の使用態様、本件ロックバンドの周知度等も勘案した上で、被告標章のうち上記文字を一連に表示した 標章については原告商標との類似性を否定する一方、「ELLE」と「GARDEN」を2段に表示した標章については類似性を肯 定した事例。
H20.2.21 知財高裁 平成19(行ケ)10230 商標審決取消請求事件
「NUK」の欧文字の周囲を略楕円形で囲った本件商標と、「LUK」の欧文字の周囲を楕円形で囲った引用商標とは、 外観及び称呼において類似するものではなく、また、いずれも特定の観念を有しない造語であるから観念において類似する ということもできないと判断し、両商標を非類似と判断した特許庁の審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H19.12.20 知財高裁 平成19(行ケ)10113 商標審決取消請求事件
「INTELLASSET」の文字と「GROUP」の文字を上下二段書きした本件商標 (但し、上段の文字中、「I」と「A」の文字は他の文字よりも約1.25倍大きく書かれている)は、 原告「Intel Corporation」の著名な略称である「Intel」を含むものであるから、商標法4条1項8 号の商標に該当し、その登録は無効と判断された事例。
H19.11.28 知財高裁 平成19(行ケ)10172 商標審決取消請求事件
デザイン化された「Shoop」の文字からなる本件商標は、その指定商品中「セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽及びこれらの類似商品」に使用された場合、 需要者間に広く認識されている引用商標「CHOOP」とは、異なる印象、記憶、連想等を需要者に与える ものと認められるから類似しないと判断し、商標法4条1項10号に該当するとして本件商標の登録の一部 を無効とした審決を取り消した事例。
H19.10.31 知財高裁 平成19(行ケ)10050 商標審決取消請求事件
「DB9」の欧文字及び数字を横書きにしてなる出願商標について、指定商品「automobiles」等に使用をされた結果需要者が 何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」(商標法3条2項)と認められると判断して、 極めて簡単でかつありふれた標章のみからなるもの(商標法3条1項5号)として不服審判の請求を棄却した特許庁の審決が 取り消された。
H19.9.27 知財高裁 平成19(行ケ)10008 商標審決取消請求事件
記事とともに広告を掲載し、読者に対して無料で配布するいわゆる無料紙が商標法上の「商品」に該当し、 「とうきょうメトロ」 と題する無料紙を配布する行為が指定商品「新聞」についての使用に当たると判断して、不使用により「東京メトロ」の商標登録 を取り消した審決を取り消した事例。
H19.9.26 知財高裁 平成19(行ケ)10042 商標審決取消請求事件
本件商標の指定商品である第29類「豆乳を主原料とするカプセル状の加工食品」と、引用商標の指定商品中の第29類 「共棲培養した乳酸菌生成エキスを加味してなる豆乳,その他の豆乳」は、互いに類似する商品であると判断して、両商品 を類似しないものとして無効審判請求を不成立とした特許庁の審決が取り消された。
H19.8.30 知財高裁 成19(行ケ)10090 商標審決取消請求事件
第5類「薬剤」を指定商品として登録された「海」の文字よりなる本件商標と、「快」の文字よりなる引用商標は、たとえ両商標が 「カイ」の称呼を生ずる点において共通性があるとしても、その観念は明らかに相違し、外観も「海」と「快」とでは著しく異なる 上、「薬剤」において称呼のみで取引される実情があるとも認められないから、本件商標と引用商標は類似しないと判断された事例。
H19.7.12 知財高裁 成19(行ケ)10013 商標審決取消請求事件
階段状の遺跡付近でダイバーが遊泳している図形と、「海底遺跡」との文字からなり、指定役務を第39類「海底遺跡を見学するた めの海底散策・海上散策の案内」等とする商標登録の指定役務の一部について、商標法3条1項3号に該当するとして商標登録を取 り消した特許庁の異議決定に誤りがあるとして、同決定を取り消した事例。
H19.6.27 知財高裁 平成18(行ケ)10555 商標審決取消請求事件
懐中電灯の立体的形状を表し、指定商品を第11類「懐中電灯」とする立体商標の出願について、使用により自他商品識別機能を獲 得したものというべきであるから、商標法3条2項により商標登録を受けることができると判断し、拒絶査定不服審判の請求を棄却 した特許庁の審決が取り消された事例。
H19.5.22 知財高裁 平成18(行ケ)10301 商標審決取消請求事件
原告商標「Dona Benta」は原告の業務に係る商品を表示するものとしてブラジル国内で需要者の間に広く認識されていたも のであり、本件商標「DonaBenta」は原告商標と類似する商標であって、かつ、被告はブラジル国において広く認識されて いる原告商標の名声に便乗する不正の目的をもって本件商標を取得し使用をするものと認められるから、本件商標は商標法4条1項 19号に違反して登録されたものであるとして、無効審判の請求を棄却した特許庁の審決が取り消された事例。
H19.4.26 知財高裁 平成18(行ケ)10458 商標審決取消請求事件
類似関係にある2つの商標が異なる出願人によって同日に出願され、指定商品も抵触しているのに、商標法8条2項に規定する協議や、 同条5項に規定するくじの実施がなされずに何れも登録されたことに対し、利害関係を有する第三者が無効審判請求した事案において、 前記手続違背は商標法46条1項1号の無効事由に該当するものではないと判断された事例。
H19.3.28 知財高裁 平成18(行ケ)10374 商標審決取消請求事件
第32類「ビール風味の麦芽発泡酒」を指定商品とする商標「本生」について、「本生」の語は、ビールや日本酒の酒類等の分野においては 「加 熱殺菌していない本格的なもの」 というほどの意味合いで認識され、使用されている語であるから、 ごく普通に用いられる特徴のない書体からな る本願商標は、これに接する需要者をして、単に商品の品質を表示したものと認識させ、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないと判断 し、商標法3条1項3号等に該当するとした特許庁の審決の認定判断を維持し、原告の請求を棄却した事例。
H19.3.26 知財高裁 平成18(行ケ)10358 商標審決取消請求事件
原告の立証方法によれば、原告が開設するウェブサイトのトップページにおいて本件審判請求登録前3年以内に本件登録商標を使用していたものと 認めるに足りないと判断され、不使用取消審判の請求認容審決の取消を求めた原告の請求が棄却された事例。
H19.2.28 知財高裁 平成18(行ケ)10375 商標審決取消請求事件
第5類「薬剤」等を指定商品とする「イブペイン」の文字よりなる登録商標を所有している被告から許諾を受けて、通常使用権者がその登録商標に 類似する商標「EVEPAIN」を「鎮痛・解熱剤」に使用する行為は、原告が「解熱・鎮痛剤」に使用している「イブ」,「EVE」の文字より なる商標との関係で、原告又は原告と何らかの緊密な営業上の関係にある者の業務に係る商品であるかのように、その出所につき混同を生ずるおそ れがあるものと判断され、商標法53条1項の不正使用取消審判の請求を棄却した特許庁の審決が取り消された事例。
H18.12.25 知財高裁 平成18(行ケ)10349 商標権審決取消請求事件
本件商標の指定役務である「美容」は、パーマネントウェーブ、結髪、化粧等に限られるものではなく、社会通念上、容姿を 美しくするものとして「美容」ということができるものであれば、広く含まれると解されるから、原告が各店舗において行っ ているリンパドレナージュ等は、本件商標の指定役務である「美容」の役務を提供しているものと認めるのが相当であると判 断し、指定役務「美容,理容」についての使用が十分に立証されていないとして不使用取消審判の請求を認容した特許庁の審 決が取り消された。
H18.11.29 知財高裁 平成17(行ケ)10673 商標権審決取消請求事件
第30類「まんじゅう」を指定商品とし、ひよ子の形状からなる立体商標の登録について、被告による本件菓子の宣伝広告は、 文字商標「ひよ子」に注目するような形態で行われてきたことなどを勘案し、文字商標「ひよ子」は九州地方や関東地方を含 む地域の需要者には広く知られていると認めることはできるものの、本件立体商標は未だ全国的な周知性を獲得するまでには 至っていないと判断して、商標法第3条第2項を適用した特許庁の審決が取り消された。
H18.9.20 知財高裁 平成17(行ケ)10349 商標権審決取消請求事件
カナダの小説家「ルーシー・モウド・モンゴメリ」による小説の題号「Anne of Green Gables」の文字よりなる商標の登録が、 商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)により、無効とされた判例である。同標章はカナダ国において公的標章として保 護され、私的機関がこれを使用することが禁じられていること、本件著作物(邦題は「赤毛のアン」)は大きな顧客吸引力を 持つものであり、本件著作物の題号からなる商標の登録を原告のように本件著作物と何ら関係のない一民間企業に認め、その 使用を独占させることは相当ではないことなどを考慮し、特許庁の審決に誤りはないとして、原告の請求が棄却された。
H18.7.31 知財高裁 平成18(行ケ)10100 商標権審決取消請求事件
事物等を表す語と「コレクション」を結合した語は、その事物等を集めたものの意味 合いを有する語として普通に使用されているものと認められるから、「ペットコレク ション」の文字と「pet collection」の文字を上下に二段書きしてなる本願商標に接 する取引者・需要者も、「愛玩動物を集めたもの」という意味合いを認識するに止ま るというべきであるから、本願商標を商標法3条1項3号又は4条1項16号に該当 するとして登録を拒絶した特許庁の審決の認定判断に誤りはないとして、原告の請求 が棄却された。
H18.6.29 知財高裁 平成18(行ケ)10043 商標権審決取消請求事件
トレーニングを行うためのコンピュータプログラムを記録したCDの表面に表示され た商標「速脳速聴基本プログラム」は、取引の実際においては、冒頭の「速脳速聴」 の部分において取引者・需要者の注意を引くものであり、その部分が自他商品の識別 力を有するものというべきであるから、「速脳速聴」の文字よりなり、指定商品を第 9類「電子計算機、その他の電子応用機械器具」とする登録商標と社会通念上同一の 商標と認められると判断され、不使用取消審 判の請求を認容した特許庁の審決が取り消された。
H18.6.12 知財高裁 平成18年(行ケ)10054 商標権審決取消請求事件
法人格なき社団である「三浦半島酪農組合連合会」を代表する原告らが第29類「牛 肉」を指定商品として出願した商標「三浦葉山牛」は、三浦半島の葉山町で生産され た牛という特性を表示するにとどまるものであって、それ以上に特定の生産者によっ て生産されたことを明らかにする出所表示機能は果たさないから、商標法3条1項3 号に該当するものであり、また、使用により同連合会が自他商品識別力を取得したも のと認めることもできないから、商標法3条2項の要件を具備するに至ったものとも 認められないと判断され、拒絶査定不服審判の請求を棄却した特許庁の審決の判断に 誤りはないとして、原告らの請求を棄却した。
H18. 4.26 知財高裁 平成17(行ケ)10851 商標権審決取消請求事件
第30類の登録商標「ササッと」について、商標法3条1項3号、6号及び4条1項16 号に違反するとして、指定商品「茶,コーヒー及びココア」の登録無効の審判を請求し、 その登録を無効とすべきではないとの審決を受けた原告が、その審決の取消を求めた事件 である。 知財高裁は、本件商標の「ササッと」は、それ自体で、「素早くできる」又は「簡単にで きる」との意味合いを看取させる働きをするものと認められるから、本件商標をその指定 商品のうちの「茶,コーヒー及びココア」に使用した場合には、取引者又は需要者は、こ れを商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示したものと理解し、自他商品を識別 するための標識としての機能を有するものとは認識しないと考えられると判断し、原告主 張の取消事由(商標法3条1項3号違反)は理由があるとして、特許庁の審決を取り消した。
H18. 3. 9 知財高裁 平成17(行ケ)10651 商標権審決取消請求事件
第9類「光学機械器具」等を指定商品とする商標「UVmini」について、欧文 字の「UV」の文字と「mini」の文字を結合したことにより、特定の熟語的な観 念が生ずるとはいえず、取引者・需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識 し得ないから、商標法3条1項6号に該当すると判断した特許庁の審決の当否が争わ れた事件である。
 知財高裁は、本願商標は「UV」と「mini」とが、その間を区分する「−」、 「・」などといった記号もなく、横一列に結合しており、全体として「ユーブイミ ニ」とよどみなく一連に称呼することができるのであって、外観、称呼において一体 的に把握することが可能であり、その結果、一体として、「紫外線」に関連する小型 の商品であるという観念が生じ得るものであるから、本願商標が、外観、称呼、観念 において一体として把握し得ることを看過して、欧文字の「UV」の文字と「min i」の文字を結合したことにより、特定の熟語的な観念が生ずるとはいえないと断定 した審決の認定は、誤りであると判断し、原告主張の審決取消事由は理由があるとし て、特許庁の審決を取り消した。
H18. 2.15 知財高裁 平成17(行ケ)10783 商標権審決取消請求事件
「3月14日(ホワイトデー)/パイ/πの日」の文字よりなり、第30類「菓子及 びパン,即席菓子のもと」(本件商標の設定登録後、指定商品中の「パイ」について は無効とすべき審決がされ、確定審決の登録がされた。)を指定商品とする商標につ いて、商標法4条1項16号にいう「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」 に該当するか否かが争われた事件である。
知財高裁は、本件商標はホワイトデーという多くの人が限られた期間内に菓子類等 を買い求める機会に使用されるものであり、そのことが商標の構成から明らかである ところ、同商標には、パイ菓子であることを直接的に示す「パイ」という言葉が使わ れ、全体としても「3月14日は菓子のパイの日」を意味すると理解できるのである から、ホワイトデーの贈り物として菓子類やパン類を求めにきた需要者は、本件商標 に接した場合、その内容、品質がパイ菓子であって、他の種類の菓子やパンではない と認識するのが自然であるから、本件商標が、パイ菓子以外の「菓子及びパン,即席 菓子のもと」に使用された場合には、需要者はその商品の内容、品質がパイ菓子であ ると誤認するおそれがあるというべきであると判断し、原告主張の審決取消事由は理 由があるとして、特許庁の審決を取り消した。
H18. 1.30 知財高裁 平成17(行ケ)10484 商標登録取消決定取消請求事件
「新美脚」の文字よりなり、第25類「ジーンズ製のズボン」を指定商品とする商標 登録に対する登録異議申立において、特許庁が商標法3条1項3号に該当するとして 商標登録の取消決定をしたことから、原告がその決定の取消しを求めた事件である。
知財高裁は、原告が、「新美脚JEANS」又は「新美脚ジーンズ」の商品名で広 告宣伝をしていたことより、本件商標の指定商品である第25類「ジーンズ製のズボ ン」を取り扱う業者にとっては、「新美脚JEANS」又は「新美脚ジーンズ」が原 告の販売する本件製品を表示するものであることを認識することができるに至ったも のと認めることができるとしたが、本件商標である「新美脚」単独では、未だ上記程 度の認識を得るまでには至っていないと認めるのが相当である上、本件商標の登録査 定当時には、「美脚」の語は脚を美しく見せることを意味する用語として普通に使用 されていたものと認められるから、本件商標の登録査定時において、「新美脚JEA NS」又は「新美脚ジーンズ」の一部である「新美脚」のみをもって何人かの業務に 係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできないと 判断して、特許庁の取消決定を維持し、原告の請求を棄却した。
H17.12. 8 大阪地裁 平成16(ワ)12032 商標権損害賠償請求事件
事業者が、その役務に関してインターネット上にウェブサイトを開設した際のページ の表示は、その役務に関する広告であるということができるから、インターネットの 検索サイトにおいて表示される当該ページの説明についても、同様に、その役務に関 する広告であるというべきであり、これが表示されるようにhtmlファイルにメタ タグを記載することは、役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供 する行為にあたると判断され、原告の登録商標と類似する標章がメタタグの冒頭に使 用されていたケースにおいて、商標権侵害が認められた。
H17.12.20 知財高裁 平成17(行ケ)10097 商標権審決取消請求事件
商標法50条2項ただし書の「正当な理由」があるというには、商標権者において登 録商標を使用できなかったことが真にやむを得ないと認められる特別の事情がある場 合に限られると解されるところ、被告が外国企業のため、マスター・フランチャイ ジーとしてふさわしい経験・資力を有している日本企業を探して契約締結に至るのに は困難を伴い一定の時間を要するといった事情は、被告の内部事情に過ぎないから、 本件商標の指定役務である「飲食物の提供」について本件商標を使用することができ ないことにつき「正当な理由」があったと認めることはできないと判断され、特許庁 の審決が取り消された。
H17.11.15 知財高裁 平成17(行ケ)10362 商標権審決取消請求事件
頭部のみを右に向けた熊の図形と、その下部に「USBEAR」の文字を表し、これらの文字を囲むように熊の図形の輪郭線から延長する線で枠を描いてなる本件商標と、左を向いた熊の図形と、その右側に「Bear」の文字を大きく表し、これらの文字を囲むように熊の図形の輪郭線から延長する線で枠を描き、さらに、その右側の枠外に左に90度回転させた「USA」の文字を配してなる被告商標とは、熊の図形の描出方法(筆致)及びその結果描かれた熊全体の図柄において相似た印象を受けるので外観において相当程度近似し、かつ、「アメリカ合衆国の熊」の観念を同一にし、「ユーエスベアー」と「ベアーユーエスエー」の呼称も相当程度似ているから、被告商標の著名性と、本件商標と被告商標との類似性の程度などからすれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者・需要者は、当該商品が被告又は被告と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認混同するおそれがあるというべきであるから、本件商標の登録を商標法4条1項15号に該当するものとして無効とした特許庁の審決に誤りはないと判断され、原告の請求が棄却された事例。
H17.11. 8 知財高裁 平成17(行ケ)10426 商標権審決取消請求事件
互いに類似する商標が同日に出願され、出願人間の協議が不成立となった場合に、商標法8条5項の規定に基づいて特許庁長官が行うくじにおいて、同日出願の関係にある商標登録出願が3件以上あったときは、商標登録を受けることができる一の出願人を決めるとともに、第二順位、第三順位の出願人を定めることができると解するのが相当であるから、くじの実施後に指定商品が補正されたとしても、さきに実施したくじにより順位を定めているので、特許庁長官は、改めて協議指令や商標法8条5項のくじを実施する必要はないと判断された。
H17. 9.14 知財高裁 平成17(行ケ)10245 商標権審決取消請求事件
「Polo by RALPH LAUREN」の著名商標で知られている米国法人が、第25類「ゴルフ用ウインドブレーカー」等の指定商品において登録を受けた商標「POLO GOLF」に対し、旧17類「ネクタイ、その他本類に属する商品、但し、ポロシヤツ及びその類似品ならびにコ−トを除く」を指定商品とする「POLO」の文字よりなる登録商標を有する原告が、商標法第4条第1項第11号違反を理由として無効審判を請求したところ、特許庁が請求を棄却したため、原告が、特許庁の審決の取消を求めた事件である。知財高裁は、本件商標の需要者は必ずしも商標やブランドについて特別の専門知識を有するものばかりではない一般消費者であることをも考慮すれば、本件商標を指定商品中「ゴルフ用ウインドブレーカー,ゴルフ用レインウエア」に使用する場合、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあると認めるのが相当であるから、本件商標の指定商品のうち「ゴルフ用ウインドブレーカー,ゴルフ用レインウエア」に係る登録は、商標法4条1項11号に違反してされたものと判断し、特許庁の審決を取り消した。
H17. 8.25 知財高裁 平成17(行ケ)10129 商標権審決取消請求事件
無効審判において引用された引用商標が、その当時既に死亡していた商標権者の名義を利用して行った更新登録を経たものである場合、その更新登録は、「その更新登録が当該商標権者でない者の出願に対してされたとき」(旧商標法48条1項2号)に該当し、無効理由を有するが、その更新登録の日から5年の除斥期間を経過した後は、旧商標法49条により、更新登録の有効性を争い得なくなるから、「引用商標に つきなされた商標権存続期間の更新登録は、死者の名義でされたもので、その更新手続自体が存在しないから、単なる誤記であり、更新登録無効審判の除斥期間の適用を受けない」との原告(商標権者)の主張は、採用することができないと判断され、原告の請求が棄却された。
H17. 7.22 最高裁第二小法廷判決 平成16(行ヒ)343 商標審決取消請求事件
人(法人等の団体を含む。)の名称等の略称が商標法4条1項8号にいう「著名な略称」に該当するか否かは、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきであるから、上告人略称「自由学園」が本件登録商標「国際自由学園」の指定役務の需要者である学生等の間で広く認識されていないことを主たる理由として本件登録商標が商標法4条1項8号の規定に違反するものではないとした原審の判断には、同号の規定の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ないとして、原判決を破棄し、審理を知的財産高等裁判所に差し戻した。
H17. 7.14 最高裁第一小法廷判決 平成16(行ヒ)4 商標審決取消請求事件
商標登録出願についての拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している場合において、商標法10条1項の規定に基づく分割出願がされ、もとの商標登録出願について商標法施行規則22条4項で準用する特許法施行規則30条の規定による手続補正書が提出され、分割出願と重複する指定商品を削除する補正がされたときは、その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはないから、当該補正の効果によって審決取り消すことはできないと判断し、原判決を破棄した。
H17. 7.11 最高裁第二小法廷判決 平成15(行ヒ)353 商標審決取消請求事件
商標法4条1項15号違反を理由とする商標登録無効の審判請求が除斥期間を遵守したものであるというためには、除斥期間内に提出された審判請求書に、当該商標登録が同号に違反する旨の記載があることをもって足りるから、除籍期間の経過後に同号に違反する旨の具体的理由を補充した場合でも、その審判請求を不適法な審判請求として却下することはできないとして、原判決を維持し、上告を棄却した。
H17. 6.21 東京地裁 平成17(ワ)768 商標権侵害差止等請求事件
第42類「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務」等を指定役務とする登録商標「IP FIRM」を有する原告が、「TOKYO IP FIRM」の表示を使用して特許事務所を経営している被告に対し、商標権侵害を理由として、同表示の使用の差し止めなどを求めた事案である。「IP FIRM」は、「知的財産権」に関する「事務所」を意味するにすぎないから、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」(商標法3条1項6号)に該当するというべきであり、そのような無効理由の存在する商標権に基づく権利使は、商標法39条で準用する特許法104条の3の規定により許されないと判断され、原告の請求が棄却された。
H17. 4.13 東京地裁 平成16(ワ)17735 商標権侵害差止請求事件
第16類「印刷物」を指定商品とする登録商標「レガシィクラブ」を有する原告が、「ClubLEGACY」の表題で雑誌を発行している被告に対し、商標権侵害を理由として同標章を付した雑誌等の印刷物の発行及び販売の差止めを求めた事案である。本件商標と被告標章の称呼を比較すると、両者は、いずれも「レガシィ」及び「クラブ」の語を結合した称呼であり、その順序が逆になっているにすぎず、時と場所を異にして取引者・需要者が両標章の称呼に接した場合は、その出所を誤認混同する可能性は少なからず存するものと見るのが相当であるから、本件商標と被告標章とは称呼において類似し、しかも、「レガシィのクラブ」ないし「レガシィの会」といった伝統ある又は高貴な雰囲気を有する集まりという観念においても同一であるから、被告標章は本件商標に類似するものと認められると判断され、原告の請求が認容された。
H17. 3.17 東京高裁 平成16(行ケ)404 商標審決取消請求事件
繊維メーカーである原告が、「洋服」等を指定商品とする商標「ザックス/ZA X」の登録を取り消す旨の不使用取消審判の請求認容審決を受けたため、その取 り消しを求めた事件である。原告は、織物の商標である「ザックス」が、二次製 品である「スラックス」にも直接付されて販売されているから、これにより、使 用商標は、商品「スラックス」について使用されていたということができると主 張したが、本判決は、原告らは、「素材」についてのみ需要者に対して責任を負 うものであると認定した上で、使用商標が「スラックス」の自他商品識別標識と して健全に機能しているとはいえないと判断し、特許庁の審決に違法性はないと して、原告の請求を棄却した。
H17. 2.24 東京高裁 平成16(行ケ)256 商標審決取消請求事件
商標「メバロチン/MEVALOTIN」を「薬剤」に使用している原告が、第5類「薬剤」を指定商品とする商標「メバスロリン/MEVASROLIN」の登録に対し、商標法4条1項11号及び15号に違反して登録 されたものであるとして、無効審判を請求した事件の審決取消訴訟の判決である。 原告商標の高度な著名性及び独創性、原告商標と本件商標との類似性の程度、両商標に係る商品の性質,用途,目的における関連性の強さ、取引者・需要者の共通性の程度を考慮すれば、被告が本件商標を「高脂血症用薬剤」に使用した場合、その取引者・需要者において、これを原告あるいは原告と資本関係ないしは業務提携関係にある会社の業務に係る商品と混同するか、又は、原告あるいは原告と関係のある会社が新たに販売を開始した「メバロチン」のシリーズ商品の一つ又はそれに何らかの改良を施した新商品であると混同するおそれがあると判断され、特許庁の請求棄却審決が取り消された。
H17. 1.20 東京高裁 平成16(行ケ)189 商標審決取消請求事件
「うめ/梅」の文字よりなる商標について、「第30類 全指定商品」及び「第 31類 あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし 」 の指定商品との関係で、原材料、品質を表示するに止まり、自他商品の識別標識 としての機能を果たし得ないとした特許庁の商標法3条1項3号又は同法4条1 項16に該当するとの無効審決について、「梅」「ウメ」の文字が表示された食 品に接する取引者・需要者は、例えば「梅肉」「梅酢」のごとく具体的な品質が 表示されていないとしても、「梅の実」若しくは「梅の実の加工品」であると理 解し、認識すると判断して、これを維持し、原告の審決取消請求を棄却した。
H16.12.21 東京高裁 平成16(ネ)768 商標権侵害差止等請求控訴事件
被服などを指定商品とする「インディアンモーターサイクル」の文字よりなる商 標権を有する控訴人が「Indian Motocycle」などの文字を含む被告商標をジャケ ット等に付して使用する被控訴人らに対し、差止め及び損害賠償を請求した事案 の控訴審判決であるが、被告商標は、1950年代以前に米国で人気を博したオ ートバイのメーカー「オリジナル・インディアン社」に由来するブランドの使用 であって、控訴人も、あえて登録商標と同一の範囲ではなく、類似の範囲にある 商標を指定商品について使用し、被控訴人の業務に係る商品と混同を生じさせた ものと評価されるものであり、控訴人は、自ら使用するよりも、むしろ類似の商 標を使用することが見込まれる者に対して権利を行使し、経済的利益を得ること を主たる目的として商標を出願・登録し、現に類似の商標を使用する被控訴人ら に対し、権利を行使しようとするものであるなどの事実関係にかんがみれば、か かる商標権の行使は、権利の濫用に当たるものとして許されないとして、控訴人 の請求を棄却した原判決を維持し、控訴を棄却した。
H16.11.25 東京高裁 平成16(行ケ)197 商標審決取消請求事件
第9類「財務会計処理用コンピュータソフトウェア(記録されたもの)」、 第42類「電子計算機の財務会計プログラムの設計・作成又は保守」等を指定商品又は役務として出願された「福祉大臣」の文字よりなる商標について、我が国には、福祉省という名称の行政機関はなく、福祉大臣という大臣も存在していないとしても、「福祉大臣」という語は、あたかも「福祉に関する大臣」という国の行政機関の長を示す公的な名称として、あるいは福祉行政を担当する厚生労働大臣の別称を意味するものとして、一般的に認識される可能性があるとして、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標(商標法4条1項7号)に該当すると判断して登録を拒絶した特許庁の審決が維持された 判例である。
H16. 9.30 東京高裁 平成16(行ケ)206 商標審決取消請求事件
第41類「教育」を指定役務として出願された「秘書士」の文字からなる商標について、その出願に至る経緯の観点から検討しても、また、国家資格等との誤認を生ずるおそれの有無の観点から検討 しても、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標」(商標法4条1項7号)に当たるということはできないと判断し、特許庁の拒絶査定を維持する旨の審決を取り消した判例。
H16. 8.31 東京高裁 平成15(ネ)899 商標権侵害差止等請求控訴事件
控訴人(孔版印刷機の製造販売業者)の登録商標が付された、インク使用済みの孔版印刷機のインクボトル(空容器)に、被控訴人が製造する孔版印刷用インクを充填し、控訴人印刷機の利用者に対して販売していた被控訴人らの行為が、控訴人の有する商標権の侵害に当たると判断された判例。
H16. 7.26 東京高裁 平成15(行ケ)456 商標審決取消請求事件
「半導体ウエハ」と、「電子応用機械器具(医療器械器具に属するものを除く。)」中の各種商品とは、両商品の取引の事情等を総合的に考慮すれば、これらの商品に同一又は類似の商標が使用された場合でも、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれはないから、両商品は非類似の商品であると判断された判例。
H16.6.8 最高裁第三小法廷判決 平成15年(行ヒ)265 商標審決取消請求事件
アメリカ合衆国のデザイナーの氏名からなる商標「LEONARD KAMHOUT」を出願した日本法人が当該デザイナーから得た同意書を提出していたが、その後、当該デザイナーが同意書による同意を撤回したという刊行物等提出書を提出した事案において、他人の氏名等を含む商標について商標登録を受けるためには,商標登録の査定の時において当該他人の承諾があることを要すると判断され、商標法第4条第1項第8号に該当するとして拒絶査定を維持した審決についての審決取消請求事件の上告審判決である。
商標法第4条第3項は、査定時に8号に該当する商標であっても、出願時に8号に該当しないものについては8号の適用がないことが規定されているが、上記判決では、「3項にいう出願時に8号に該当しない商標とは,出願時に8号本文に該当しない商標をいうと解すべきものであって,出願時において8号本文に該当するが8号括弧書の承諾があることにより8号に該当しないとされる商標については,3項の規定の適用はないというべきである。」と解釈して、8号かっこ書きの規定の適用を受けたいときは、3項の適用はなく、査定時において8号かっこ書の承諾を要すればよいことが明確にされた。
H14. 6.18 東京高裁 平成14(行ケ)108 商標審決取消請求事件
ギリシャ文字の「Ω」を90度回転させたような態様の本件登録商標と、時計で著名な引用商標「Ω」が類似しないと判断された無効審判の審決が、腕時計等に使用される場合には「天地」がなく、いずれの方向から商標が看取されるかについて特定されない場合があるという、指定商品「時計」の取引事情等を勘案して類否判断された結果、取り消された判例。
H14. 7.18 東京高裁 平成13(行ケ)418 商標審決取消請求事件
第30類「チョコレート,その他の菓子」等を指定商品とし、金塊を模した黄金色の6面体よりなる立体商標の商標登録出願に対し、商標法第3条第1項第3号の拒絶査定を維持した審決が、審決取消訴訟においても維持された判例。
H14. 1.30 東京高裁 平成13(行ケ)265 商標審決取消請求事件
 「角型瓶入りのウイスキー」を指定商品とする商標「角瓶」について、実際の商品に使用している商標の形態が、「角瓶」の文字と「サントリー」又は「サントリーウ井スキー」の文字を連続して表示していると認められる形態のものを含む場合であっても、商標法第3条第2項の適否の判断においては、ハウスマークと結合して一体化したものを一個の商標として扱うような積極的な行為に及んでいるかどうか等の事実に基づき、その点についての使用者及び取引者、需要者の認識いかんに従って、これを決するのが相当であると判断し、結果として使用による顕著性を認め、拒絶査定を維持した審決を取り消した判例。
H15. 2.27 最高裁第一小法廷判決 平成14(受)1100
損害賠償,商標権侵害差止等請求事件
真正商品の並行輸入が実質的違法性を欠き、商標権侵害にあたらない場合の規範定立を行いつつ、使用許諾契約における許諾条項の範囲を逸脱して、製造国及び下請の制限に違反して製造された商品に対しては、商標の品質保証機能が害されるおそれがあることを理由に商標権侵害を認め、また、輸入業者には注意義務があるから、過失推定(商標法39条で準用する特許法103条)を覆すことはできないと判断し、上告を棄却して原判決を維持した判例。
H15. 2.19 東京高裁 平成14(行ケ)334 商標審決取消請求事件
第3類「化粧品」等を指定商品とし、「和漢研」の文字と「麗姿」の文字を上下に二段書きしてなる登録商標を、指定商品「化粧品」等の直方体状の包装箱に使用する際に、「和漢研」の文字と「麗姿」の文字を包装箱の別々の面に表示していたが、商標法第50条第1項かっこ書にいう「社会通念上同一と認められる商標」に該当すると認定され、不使用取消審判の請求を棄却した審決が維持された判例。
H15. 6.27 東京地裁 平成14(ワ)10522 商標専用使用権差止等請求事件
第30類「菓子、パン」を指定商品とする登録商標「花粉/かふん」の専用使用権者である原告が、商品「のど飴」について商標「花粉のど飴」を使用している被告に対し、商標の使用差止めと損害賠償を請求した事件であり、被告商標が、被告商品の「のど飴」の袋の表側中央部及び裏側上側のそれぞれ目につく部分に大書されていることから、商標法第26条第1項第2号にいう「普通に用いられられる方法で表示する」の要件を満たさないと認定され、原告の請求の一部が認容された判例。


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