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発行日 :平成24年 1月
発行NO:No28
発行 :溝上法律特許事務所
弁護士・弁理士 溝上哲也
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【5】記事のコーナー:〜
平成23年の特許法改正による発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について
〜
わが国の特許制度では、特許出願前に公開された発明は、原則、特許を受けることはできませんが、論文発表等によって自らの発明を公開した後に、その発明について特許出願をしても一切特許を受けることができないとすれば発明者にとって酷な場合もあり、また、産業の発達への寄与という特許法の趣旨にもそぐわないことから、特定条件下で発明を公開した後に特許出願した場合には、先の公開によってその発明の新規性が喪失しないものとして取り扱う規定(特許法第30条)が設けられています。
ところで、平成23年の法改正前の規定では、その適用対象は、試験の実施、刊行物への発表、電気通信回線を通じての発表、特許庁長官が指定する学会での文書発表、特定の博覧会への出品等によって公開された発明に限定されていました。
しかしながら、近年における発明の公開態様の多様化へ対応するため、平成23年の法改正によって適用対象が拡大され、特許を受ける権利を有する者の行為に起因して特許法第29条第1項各号の何れかに該当するに至った発明(特許法第30条第2項)であれば、内外国特許庁・国際機関により発行された公報に掲載された発明を除いて、すべて適用対象とされることになりました。
つまり、従来は適用対象とされていなかった、集会・セミナー・特許庁長会の指定の無い学会等で公開された発明、テレビ・ラジオ等で公開された発明、販売によって公開された発明等が新たに適用対象となります。
但し、新規性喪失の例外規定の適用を受けるためには、新たに適用対象となったものも、従来より適用対象であったものと同様に、
1.権利者の行為に起因して公開された発明の公開日から6カ月以内に特許出願すること(特許法第30条第2項)、
2.特許出願時に発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出すること(特許法第30条第3項)、
3.特許出願の日から30日以内に、発明の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを証明する書面を提出すること(特許法第30条第3項)、
の三つ要件を満たす必要があることは言うまでもありません。
なお、発明の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを証明する書面については、「平成23年改正法対応・発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための出願人の手引き」に詳しく記載されています。
以上
(H24.1作成 : 特許商標部 宮崎 勲)
→【1】論説 <商標法38条3項に基づく損害賠償請求について>
〜不使用商標権に基づいて実施料相当額の賠償請求が可能か〜
→【2】論説:知的財産と刑事法:親告罪
→【3】論説〜プラバスタチンナトリウムの特許発明の技術的範囲がクレーム記載の製法に限定されるかが争われた事例〜
→【4】論説:労働者の保護について
→【6】記事のコーナー :事務所旅行〜中国〜
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