発行日 :平成12年 10月
発行NO:No5
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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   【2】記事のコーナー〜法律相談 Q&A 〜
Q1 そもそも法律相談とはなんですか。
A1 法律相談とは、一切の法律上の問題に関して(これを法的紛争といいます。)、法的知識と法的技術の専門家である弁護士からアドバイスを受け、法的紛争の解決を図る一方法です。 法的紛争といっても、法的知識を得られば解決する問題、内容証明書等書類を作成する必要がある問題、さらには、裁判をする必要がある問題まで、難易度、質等において、幅があります。 また、法的紛争の解決方法には、その事件に最も適した紛争解決方法があるのが通常です。 そのような場合に、法的紛争の解決のきっかけを提供する手段が「法律相談」です。

Q2 法律相談をするには、どうすればいいのですか。
A2 個々の法律事務所を直接訪ねる方法と弁護士会から弁護士を紹介されるという方法が大きく分けてあります。
ここでは、個々の法律事務所を直接訪ねる場合を、紹介しましょう。

Q3 知り合いの紹介でないと弁護士は、事件を受けてくれないのですか?
A3 弁護士に知り合いがいれば、知り合いから紹介してもらうというのが、話が早いでしょう。弁護士が扱う仕事は、法的紛争の解決ですが、それには、依頼者と弁護士とのお互いの信頼関係が不可欠です。従来、弁護士が知り合いというのを重視したのは、この信頼関係が築きやすいと一般的にいえるからでしょう。 依頼者の立場からみれば、当該法律問題は、一生に一度あるかないかの問題です。そして、問題の解決にあたり、ある種プライベートに関わる事項についても、弁護士に語らなければならない場合もあります。そのような意味で、弁護士に知り合いがいるというのは、有利な面があります。
とはいっても、弁護士増員問題、広告解禁に伴い、いつまでも「一見さんお断り」では、現在の司法に対して求められている期待を裏切ることになるでしょうし、弁護士としてもやっていけなくなるでしょう。
その意味で、知り合いの紹介がない場合でも、紹介と同じ対応をする弁護士は増えていますので、このような弁護士を、依頼者自身が選択、選別することが必要かと思います。 なお、当事務所では知り合いの紹介がない場合でも、法律相談に対応しています。

Q4 「法律特許事務所」は、特許関係の相談しかできないのですか。
A4 弁護士が扱う法的紛争は、ある程度は類型化できるとしても、個々の法律問題が絡み合って起こるのが通常です。
例えば、破産事件において、破産者の財産に、商標や特許がある場合もありますし、逆に特許の実施権設定契約書作成には、特許法以外の法律に精通する必要があります。 したがって、特許関係の相談にかかわらず、一般的な法律相談も可能です。

Q5 まず、相談をしたいのですが、費用はどれぐらいかかりますか?
A5 弁護士を使って解決できる問題か(当然のことながら、弁護士が解決できるのは法的紛争です。)。費用対効果の問題、弁護士の質を見極める問題等を考えたとき、まず、法律相談をするというのは賢明な判断です。
弁護士の法律相談は、各地の弁護士会や自治体では30分単位としているのが一般的ですが、30分では、相談に十分な時間とはいえないので、1時間を単位としている法律事務所も多いようです。
当事務所でも、一般法律相談は、1時間1万円、専門分野に関する特許相談は、1時間2万円を基準としています。

Q6 法律相談に事務所を訪れたいのですが?
A6 まず、電話等で、法律相談の希望を伝えて、事務所へ行く、日時を決め、名前、住所、連絡先等必要事項を告げた上、予約を取って下さい。当事務所では、電話に出た事務スタッフとの間で、法律相談の希望を伝えて頂ければ、弁護士と直接話しをする必要はありません。
法的紛争は、いってみれば、病気にかかり医者へ行くのに似ています。ただ、違うのは、弁護士は、裁判所、警察署等へ外出することが多い職業です。予約を取らずに事務所へ行っても、弁護士がいないという無駄足になるおそれがあります。

Q7 電話による相談はできませんか。
A7 その一つの重要な理由として、証拠の点があります。
電話やメールでは、問題となっている資料を手に取ってみることができません。資料を手にしながら、例えば、「借用書の判は、依頼者が押したのか?」とか、「自分で署名したのか?」とか、「借用書の署名の筆記用具はなにか」とか、「筆跡は?」とかと質問をすることができないのです。その意味で、電話やメールの相談というのは、「あなたの言っている事実関係を前提にすれば」という限定的な答えや個別的な事情を排斥した一般的・抽象的な答えをすることしかできません。特に、手形のような、資料が決定的な意味を持つものについては、電話やメールによる相談は、不適当といえます。
逆をいえば、単に電話やメールの質問は、自分で本を調べれば済むかもしれません。 電話やメールの質問に断定的に答えることができる弁護士は、すこし疑問であると思います。 ただ、電話やメールで法律相談の予約を取る際に、事件の概括を伝えるのは、有益です。法律相談に向けて、弁護士の方も調査が可能となり、備えることができるからです。その意味で、メールによる予約というのは、依頼者・弁護士双方にとって、有用な一方法といえるでしょう。
なお、当事務所では、顧問契約を締結している顧問先との間では、日頃の意思疎通が十分なこともあり、メールによる相談にも対応しています。

Q8 予約の時間に急に行けなくなったのですが。
A8 予約の時間に都合が悪くなった場合、予約時間に遅れる場合等には、できるだけ早く、事務所の方へ連絡してください。場合によっては、予約を違う日に取り直すという処置が必要な場合があります。
弁護士は、時間を1時間なら1時間とスケジュールに詰めていることが多いため、相談の延長ということが実質的にできないという事態が起こりうるのです。

Q9 法律相談で、準備するものは何かありますか?
A9 法律相談で準備するものは、@相談料、A問題となる法的紛争の基礎的資料、B自分なりの法的紛争の整理です。

(1)法律相談の際に、相談料がかかるのは、前述しました。法律相談の結果、弁護士に具体的に事件処理を依頼するには、後述するように着手金・費用が必要となります。

(2)法律相談の際には、法的紛争の基礎的資料を持参することで、効率的かつ効果的なアドバイスを受けることができます。
法的紛争の基礎的資料とは、一般的にいえば、具体的な事実関係を全く知らない弁護士に1時間という短い時間に内容を理解させるために必要な資料です。 具体的にいえば、当該法律問題の基礎的な資料です。
例えば、

1) 貸金返還を求めるならば、「借用書」、
2) 手形金請求ならば「手形」自体、
3) 特許侵害なら、「侵害品」自体、「カタログ、パンフレット」等
4) 自己破産ならば、「債権者の名前、住所、債権額等を書き留めたメモ」
5) 不動産にまつわるものならば、「不動産登記簿謄本」、
6) 相続・離婚等は、「戸籍謄本」
7) 交通事故による損害賠償請求ならば、「交通事故証明書」
8) 裁判を起こされたならば、「訴状」等の裁判資料

が基礎的な資料となります。
ただし、例えば、「借用書」がない場合にでも、他の資料で貸金があることが明らかな場合も当然あるわけですから、法律相談の予約を取る際、事件の概括を伝えどのような資料を持参するのが適当か聞いておくのが効率的でしょう。
資料は、原本を持参するのが、最も効果的ですが、ない場合にもできるだけ鮮明なコピーを持参しましょう。

(3)最も重要なことは、なにが問題なのか、なにをしたいのかということを依頼者自身がよく整理していることです。
繰り返しになりますが、法律相談は短い時間に弁護士に内容を理解させる必要があります。
そのため、例えば、複数人が関係する複雑な事件では、「人間関係が分かるようなメモ」「相続人関係図」等を用意するとか、「時系列」で起こった出来事を並べてみるとかして、前提となる事実をわざわざ詳しく説明しなくても済むような工夫をするとよいでしょう。


Q10 法律相談の内容を他人に知られたくないのですが。
Q11 自分に不利な事実もあるのですが。
Q12 法律相談の結果、相談した弁護士に事件処理を頼みたいのですが。
Q13 弁護士に事件を依頼すると、どれぐらいのお金がかかるのですか?

(H12.10作成 H16.4.1修正: 弁護士 岩原義則)


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