発行日 :平成12年 10月
発行NO:No5
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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   【2】記事のコーナー〜法律相談 Q&A 〜
Q10 法律相談の内容を他人に知られたくないのですが。
A10 弁護士が法律相談で知った事実を他人に漏らすのは犯罪となります。弁護士は、職業柄、プライベートに関わる事項、営業機密等に関する事項を知りうる立場にあります。そのため、弁護士には秘密を堅く守る義務(これを「守秘義務」といいます)があり、法律相談の内容は、たとえ相談者の家族であれ相談者の承諾なくして他に漏れることは絶対にありません。
また、例えば、事件を依頼され、電話による連絡をする際に「弁護士」と名乗らないで欲しいとか、郵送場所の指定とか等の秘密を守るための要望も、考慮しますので、その旨伝えてください。

Q11 自分に不利な事実もあるのですが。
A11 自分に有利・不利な事実を問わず、全てを弁護士に話してください。
弁護士は、依頼者に不利な事実があるならば、それに対する対応策、または不利な事実を前提として最適な法的紛争の解決方法を提示します。
最も、困るのは、解決方法を提示し、その解決にあたっているときに、事件の相手方から思いがけない事実があらわれることです。

Q12 法律相談の結果、相談した弁護士に事件処理を頼みたいのですが。
A12 法律相談の結果、弁護士を使うことが、必要または有効と判断されたときは、その相談した弁護士に事件処理を依頼することができます。
ただし、弁護士が具体的に事件解決に動くには、相談料とは別に着手金・費用が必要です。弁護士が具体的に活動をはじめるのは、依頼者が着手金・費用を支払い、委任状を弁護士に交付した時点からです。

Q13 弁護士に事件を依頼すると、どれぐらいのお金がかかるのですか?
A13 いわゆる弁護士費用には、着手金・報酬金・費用があります。

■着手金について
着手金とは、文字とおり、事件の結果の勝敗に関わらず弁護士が事件をはじめるにあたって依頼者が支払うお金です。

依頼者が、着手金を支払い、委任状を弁護士に交付することで、初めて弁護士は事件の解決に向けて具体的な活動をはじめます。したがって、法律相談の結果、弁護士を使うことが有益だ、必要だと判断された場合には、相談料とは別に着手金を支払うことが必要です。
着手金の具体的な金額については、個々の事件によって、選択した法的解決の方法、事件の難易度等によって、異なります。

したがって、着手金については、法律相談の結果、どのような法的解決をするか、難易度等によって、異なるため、具体的な金額はいくらとすることは、法律相談の予約の際には、提示できません。
これまで、日本弁護士連合会では、弁護士報酬等基準規程を制定して着手金・報酬金の基準を決めていましたが、弁護士法の改正により平成16年4月1日にこの規程が廃止されたため、現在では、各弁護士が自由に決めて良いことになりましたので、着手金・報酬金の額は、事案ごとに相談した弁護士に確認して頂くことになります。
なお、平成16年4月1日に廃止された従来の弁護士報酬等基準規程では、一般的な民事事件の着手金・報酬金の基準は、後述のとおりになっていました。また、個人で、不動産もなく、事業者でもない場合の自己破産の着手金は、通常、30万円程度が必要なことが一般です。

■報酬金について
報酬金とは、文字とおり、事件が成功に終わったときに成功の度合いに応じて弁護士に支払われるお金です。
したがって、法律相談に際しては、とりあえずは準備の必要がないお金です。

■費用について
これは、弁護士が具体的に活動するために必要な印紙代、電話代、コピー代、郵便切手代、交通費等の諸費用です。

費用については、最初に事件に応じた費用を弁護士が預かって後に精算し、途中で、不足した場合は追加してもらい、残りの残額は事件終了の際に返金するという「預り金」という形をとったり、費用が発生する都度、請求する場合もあります。

したがって、弁護士に相談する際に必要なお金は、相談をするだけならば、相談料、すぐにでも事件解決に向けて動いてもらいたいという場合は、相談料に加えて、着手金と費用の準備が必要ということになります。
着手金・費用については、いくらかかるのか法律相談の予約の段階では、はっきりしませんが、法律相談の結果、弁護士を使うことが有益、必要と判断されたときは、直接に弁護士にいくらかかるかを聞いてください。提示した法的紛争の解決方法に応じた額を提示します。

[平成16年4月1日以前の報酬等基準規程による一般民事事件の着手金・報酬の基準]
経済的利益の額 着手金 報酬金
(1)300万円以下の部分 8 % 16%
(2)300万円を超え3000万円以下の部分 5% 10%
(3)3000万円を超え3億円以下の部分 3% 6%
(4)3億円を超える部分 2% 4%

着手金及び報酬金は、事件の内容により30%の範囲内で増減できます。

*計算例
経済的利益が500万円の場合、 1)と2)の部分に分けて、次のように計算します。

着手金 (1)300万円×8%= 240,000 円
           (2)200万円×5%= 100,000 円
           合計 340,000 円±30%
   
報酬金 (1)300万円×16%= 480,000 円
           (2)200万円×10%= 200,000 円
           合計 680,000 円±30%

(H12.10作成 H16.4.1修正: 弁護士 岩原義則)


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