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発行日 :平成26年 8月
発行NO:No33
発行 :溝上法律特許事務所
弁護士・弁理士 溝上哲也
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【3】紛争前の相談の重要性について〜
1,個人問題における紛争前の相談の少なさ
近年,企業法務においては,そのリスクの大きさや高度な法的知識を要求されるケースの多さ,更にはコンプライアンスが重視されていることなどから紛争が実際に生じる以前からご相談下さることが多くなっています。
しかし,こと個人の問題となると,実際に紛争が発生し場合によっては裁判や調停という段階に至るまで法律事務所の利用を考えられないケースが多いように思います。このような事態が生じる原因として,弁護士に相談すると費用がかさみそうといった費用面での心配や法律事務所の利用という習慣がないため,弁護士に相談するというのは何だか大げさな気がするというような心理面の障壁,これくらいのことで相談に行くのはおかしいのではといった思い込みなどが影響しているのではないかと思います。
以上述べたような点は多くの場合誤解であり,むしろ早期の段階でご相談いただくことには多くのメリットがあります。以下具体的に述べたいと思います。
2,費用面の問題
確かに,弁護士によっては、専門性や事務所の規模などの事情から、少しの相談であっても、比較的高額の相談料が必要とされるといった事務所も存在します。しかし,総じて,既に紛争が発生した段階での相談よりも,紛争発生前にご相談いただけば費用は抑えられます。早期にご相談いただくことで,以後の流れを想定したうえで,助言することが可能となり,紛争を未然に防止できたり,仮に紛争となっても、早期解決を図るための対応や証拠の確保が既になされているためです。また,紛争前の御相談であれば,裁判の着手金も不要であり、通常想定される相談料以外に、予想外の弁護士費用が発生することもありません。
3,心理面の障壁について
紛争予防といった観点で弁護士の助言を個人が求めるケースというのは,依然として定着しておらず,今までの法律事務所に立ち入る経験をされたことのない方が大半だろうと思います。しかし,そもそも法律事務所というのは実際に紛争が生じた場合に利用するのが通常というものではありません。むしろ紛争の予防あるいは紛争の早期解決のため利用してもらいたいところです。本人は大した問題と思っておらず格別意識することなく締結した契約が後に大きなネックになることや,後に紛争となることを想定し,適切な証拠を残しておくことを怠ったがために,紛争が生じたり,ひいては多額の損害を被るといった事態は数多くあります。相談に来られた時点ではもはや争うのは難しいといったケースでこそ弁護士が活躍すると思われている方もいるかと思いますが,むしろそれ以前に依頼を受け活躍することこそ依頼者の方にとってはメリットが大きいとさえいえるように思います。ですから,ご自身で問題の有無・大小,相談すべき事柄か否かを選択されるのではなく,何か迷われれば、弁護士にご相談いただくのが理想的だと思います。
4,他のメリット
他にも、早期にご相談されれば、不安感を抱かれている問題が実際にはどのような問題を孕んでいるのか、実際には将来どのような問題の発生が想定されるのか、現状どのようなことをしておけばいいのかなどを知ることができ、それにより不安の多くは解消されたり、問題解消のための手段が明らかとなり不安感を減じることが可能となると思います。私自身、まだ弁護士一年目の身であり、法曹業界がどのように理解されているのかを客観的に見られる立場にいると感じています。自分がこの業界に飛び込む前には弁護士に相談するというのは心理的に敷居の高いものでしたが、実際には特に個々人が抱えられている問題の早期相談の重要性とそれによるデメリットの少なさを少しでもご理解いただければと思っています。
5,最後に
近年,ますます様々な契約類型・コミュニケーションツールが開発され便利になる一方で,複雑な法律問題や知らない内に紛争に巻き込まれるリスクが高まっています。また,本人間では解決不能な問題も多く生じているように思います。不明点や疑問点をそのままにしたり,どのような問題が以後生じ得るのかを把握せずに事を進めていくのではなく,違和感を持たれた時点でご相談いただき,そういった相談経験の中から,ご自身も一定程度の法的知識を身に付けて頂ければ以後の実生活でも十分役立つものになると思います。
(H26.7作成: 弁護士 河原 秀樹)
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