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発行日 :平成22年 8月
発行NO:No25
発行 :溝上法律特許事務所
弁護士・弁理士 溝上哲也
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【6】記事のコーナー:外国への特許出願について〜中国〜
日本の経済市場が海外へとさらに広がり、それに伴い知的財産権の舞台も海外へと広がっています。
事務所で事務にあたっていても海外での権利取得のための手続の増加は著しいものがあります。
今回は、その中でも大きな経済成長をとげており、今後も知的財産権権取得対象として注目されるであろう 中国の、特許出願から登録までを基本的な大まかな流れを事務的な側面からまとめてみました。
なお、下記に記載致しました内容については、2009年10月1日に施行(2008年12月の改正法)された現行 法に基づくものとなっております。
1.出願に際して必要な書類等
書 類 名
種 類
特 徴 等
出願書類(願書・明細書・請求の範囲・要約書・図面)
言 語
中国語
PCT国内段階
移行手続期限:優先日から30ヶ月。その後2ヶ月以内に翻訳文を提出。
30ヶ月を待たずに早期に移行する場合、国際出願の翻訳文以外に国際出願の書類の証明書(Certified Copy of the International Application as filed)の提出が求められる。
パリルート
優先日から1年以内に中国語による明細書等を提出することが必要
委 任 状
原本の提出が必要(コピー不可)
出願人が個人の場合
署名又は押印のいずれか
会社の場合
@出願人の社印A代表取締役の署名又は押印のいずれか。@かAのいずれか1つが必要
優先権証明書
提出期限:中国出願日から3ヶ月以内
PCT国内段階
送付不要
パリルート
原本を送付
2.出願から登録までの手続の流れ
中国出願フローチャート
@方式審査(初歩審査(予備審査))
出願は、方式的要件、不特許事由、出願の単一性等について審査される。
方式的要件等をみたしていないと判断された場合、方式指令が発せられ、この指令書から所定の期間 内に不備を訂正するよう求められる。また、発明が不特許事由に該当すると判断された場合には、指定 された期間内に意見書の提出が求められる。
A出願公開
出願日(又は優先日)から18ヶ月経過後。早期公開請求可。公開により仮保護の権利が発生。
B実体審査
出願と同時、又は出願日若しくは優先日から3年以内。審査請求がされなかった場合、出願は取り下 げたものとみなされる。
C拒絶理由通知(Office Action)
実体審査請求後、特許要件について審査され、要件をみたしていないと判断された場合、発せられる 。
この期間に意見書、補正書を提出することができる。
指定期間は、一般的に通知発行日から最初の拒絶理由通知の場合4ヶ月間、最後(2回目)の場合は 2ヶ月。
これらの指定期間は、請求により1回に限り更に1ヶ月又は2ヶ月の期間延長を求めることができる 。
D特許付与
特許要件を満たしていると判断された場合、特許付与の決定(特許査定)がなされる。
通知から2ヶ月以内に特許証発行料金、公告手数料及び特許付与前の納付すべきであった、出願日か ら3年以降の出願維持年金を納付(1〜3年分までは納付不要となった)。特許存続期間は出願日から 20年。
E不服審判
拒絶査定となった場合、拒絶査定謄本が送達された日から3ヶ月以内に、復審委員会に拒絶査定不服 審判(復審)を請求することができる。
出願から登録までの手続については、上記のような流れとなっています。
特徴のある点としては、
Cの拒絶理由通知が送付された際の指定期間は、請求により1回に限り1ヶ月又は2ヶ月の期間延長を求め ることができます。
また、Dの特許付与時に中国特許庁に納付する費用が「特許証発行料金」「公告手数料」となっており、権 利期間が「出願日」から20年とされているため、特許査定日が出願日から3年を越えている場合にはその 年度の「出願維持年金」が必要ということです。第1年分から第3年分までの出願維持年金については、今 回の改正で不要となったようです。
日本では、権利の発生が登録日からとなっているため、特許査定時に「設定登録料(第1年分から第3年 分までの3年分)」として特許料を納めます。
その他に自発補正、分割出願、情報提供などの手続も可能です。
3.外国出願に際しての一般的留意事項
出願に際して必要な書類等の中で、その他の留意事項として記載致しておりますが、中国のみならず、日 本の居住者が外国への出願をする場合、現地の代理人を選任しなければならないことがほとんどです。
現地の特許法の改正等に対応していくためにも現地代理人を選任することは必要なことだと思います。
その際に留意しておくとよい点として、下記のような点があると思います。
・ 期限より早い目に連絡、回答を行う。
郵送等で書類を送る場合は、その日数を考慮しなければいけないのはもちろんのことですが、当然の ことながら祝祭日も異なってくるのでその辺りも考慮しなければなりません。事務所によっては、長期休業 日がある場合事前に連絡をくれるところもありますが、そうでないところもあります。また、書類のやりと りを行う言語によって意思疎通や処理にかかる日数も異なってくるので、余裕を持って対応することが必要 かと思います。
中国の場合ですと、日本語の分かるスタッフや日本人スタッフがいて日本語でやりとりのできる場合も多 いようです。
また、代理人によっては、処理をスムーズに行うための回答希望日を明記してある場合もあります。
・ 費用の請求方法について
日本では代理人を介して手続を行った際に、特許庁への手数料(印紙代)と代理人手数料、あれば実 費、を請求するという形が主だと思いますが、外国ではその他に担当者がその処理に要した時間に単価を掛 ける「タイムチャージ」を請求されます。庁からの書類の検討した費用といったものも、その手続の費用と は別に請求されます。
・ 書類提出、送付のタイミング
現地代理人は当然のことながら、現地の特許制度に基づき、それを踏まえて手続を行っているので手 続のタイミングや書類の送付タイミングが日本の代理人のそれとは異なってくる場合があります。それは、 その国の特許制度特有のものであったり、もしくは代理人固有のものであったりすると思います。
但し、国によっては、こちらから問い合わせをしないといけない場合もあるようですので、疑問がある場 合は、確認をすることが必要かと思われます。
・ 出願維持料について
上記、中国への特許出願から登録までの流れにも記載致しましたが、中国のみでなく、国によっては 特許権を維持するための特許維持年金だけでなく、出願を維持するための出願維持年金を支払う必要がある 国があります。日本の特許維持年金のようにまとめて数年分を支払うことができない場合もあり、その場合 は毎年納めることになりますので、期限の管理に注意が必要です。また、出願維持 年金や特許維持年金については、他の管理会社に委託している事務所もあり、直接管理会社から期限のお知 らせや納付手続の要否についての問合せがある場合もあります。
以上、日常行っている事務処理の中で気づいた点をまとめたのみの簡略なものになっていますが、ご参考 になれば幸いです。
以下のHPに各国の制度が記載されています。。
http://www.iprsupport-jpo.jp/soudan/miniguide/miniguide.html
(H22.8作成: 事務経理部 中野 博美)
→【1】論説:歴史上の人物からなる商標出願について
→【2】論説:自炊の後始末:電子書籍化と著作権
→【3】論説:原告商品を模倣した商品を譲り受けたときの被告の善意無重過失について争われた事例
→【4】論説:賃借人死亡の場合の法律関係と賃貸人の対応
→【5】記事のコーナー :「明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(新規事項)の審査基準の改訂について
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