発行日 :平成29年 8月
発行NO:No39
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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   【4】記事のコーナー:〜無料調査ツールあれこれ〜


  特許庁HP(http://www.jpo.go.jp/indexj.htm)で記事の題材を探していると、トップページの右隅にちょっと興味をそそるリンクを発見しました。

  目的別メニュー
  ・特許情報プラットフォーム(J-PlratPat)
  ・中韓文翻訳・検索システム
  ・外国特許情報サービスFOPISER
  ・画像意匠公報検索支援ツール    

      −−−−−間を飛ばして−−−−−

  ・One Portal Dossier/ドシエ情報提供サービス

  要するに、いわゆる検索ツールというものが用意されていて、業務上、出願の情報を調べることが多いのですが、専ら、有償の検索ツール、無償であれば J-PlatPat や WIPOの検索サービスを使っていたので、「へぇ〜…いろいろあるなぁ」と思い使ってみました。
  今回使ってみて感想を述べるのは「画像意匠公報検索支援ツール」です。ちなみに後のツールは、思ったとおりというか期待以上も以下もない「ふむふむ、なるほど」といった感じでした。  しかし、「画像意匠公報検索支援ツール」はかなり特殊かつ別格です。ここで、勘違いがあってはならないのは、このツールは、意匠図面を検索しますが、物品形状の図面を検索するサービスではなく、下記で定義される「画像」を検索するサービスです。

  『意匠法での保護対象は、以下の@又はAのいずれかに該当するものでなければならない。
@その物品の機能を果たすために必要な表示を行う画像であって、その物品にあらかじめ記録された画像であるもの。
A物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像であって、当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示される画像であること。』
  画像意匠公報検索支援ツール Graphic Image Park ガイドライン 25Pより

  簡単に言うと、平成18年(2006年)の法改正で意匠の保護対象となった「機器の画面表示」における、画面内の「表示(画像)」のみを検索するサービスのようです。
  では、おなじみ J-PlatPat の「意匠公報テキスト検索」と「画像意匠公報検索支援ツール」で検索結果がどう違うかを、例えば「表示機能付き電子計算機の表示画面を意匠登録したいが、先行意匠の調査の依頼を受けた」という仮定で、検証してみました。

  ○J-PlatPat「意匠公報テキスト検索」
            ・ 登録日   H290101:
                  ※(H29/01/01以降の登録)
            ・(現行)日本意匠分類・Dターム:   H772?
                  ※(表示機能付き電子計算機等)
                  ※その他の条件はデフォルト設定
            ・検索結果:208件   (H29/07/14 現在)

 ○「画像意匠公報検索支援ツール」
            ・画像   未入力
                  ※(対象があればDrag&Dropだが用意していないので)
            ・モードを選択   標準
                  ※(「形」と「色」を総合的に見て類似を評価する)
            ・絞り込み条件   登録日 20170101から
            ・意匠に係る物品  未入力
            ・意匠分類     H772?
            ・検索結果:1032件   (H29/07/14 現在)

  ヒット件数がものすごく違うじゃないか!?、と思いましたが、ヒット件「数」については、J-PlatPat の「意匠公報テキスト検索」は「登録」件数(1登録を1件とカウント)を、「画像意匠公報検索支援ツール」は「表示画像」件数(1登録中の4図面に表示画像があれば4件とカウント)を、各々意味しているようです。

  そして、ここからが大きく違います。「意匠公報テキスト検索」は、上記検索において、「形状」の登録意匠もヒットすると共に「表示画像」の登録意匠もヒットします。リスト表示でなんとなく「形状」か「表示画像」かの区分けができますが、この調査上、「形状」のヒットはノイズですので、区分け判断が一つ余分です。また、「意匠公報テキスト検索」は、リスト表示では「表示画像」に行き着くまでに数クリック要する場合があり、ちょっと遠回りします。
  「意匠公報テキスト検索」に対して、「画像意匠公報検索支援ツール」は、件数上で絵的に重複したヒットが多数ありますが、「表示画像」しかヒットしていないので、「形状」の登録意匠か否かを判別する必要はなく、リスト表示を上から下までスクロールすれば表示画像だけを見ていくことができます。つまり、「表示画像」に行き着くまでクリックする必要がありません。

  以上、「画像意匠公報検索支援ツール」は、検証したとおり、「機器の表示画面」意匠の検索に特化したツールとは言え、かなり「使える」と感じました。こういうのがあったことを今さら知って感動した2017年の初夏であります。
  今回は、「無料検索ツールあれこれ」というタイトルとしながら、「画像意匠公報検索支援ツール」だけを取り上げましたが、次回、事務所報の記事作成担当が廻ってきたら、他の無料調査ツールについても書いて見ようと思っています。

以 上

(H29.7作成 : 特許商標部 竹内 幹晴)


→【1】論説:〜不使用取消審判の活用について
〜既に他社が登録している商標を自社の商標として登録することができる方法〜
→【2】論説:近年の商標の判例について(その1)〜
→【3】論説:歌詞の転載・引用と著作権侵害について〜
→【5】事務所の近況:アンケート「自分を動物に例えると」〜
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