A 訂正請求に対する意見提出機会の付与(120条の5) 特許権者から特許請求の範囲の訂正の請求があったときは、申立人に対し意見書の提出の機会を与えなければならないとされました。旧制度においては、訂正請求に対して意見書提出の機会がなく、申立人が関知し得ない方法で審理が進められ、特許権者に不利にクレームが訂正される虞がありましたが、その点が改善され、訂正請求に対する判断の適正化と制度の利便性の向上が図られました。
なお、異議申立人が意見書の提出を希望しないとき、又は特別の事情があるときは意見提出機会の付与はしなくて構いませんが、特別な事情とは、訂正が訂正要件に適合しない場合、誤記等軽微な場合、請求項の削除のみである場合、特許異議の申立がされていない請求項についてのみされた場合が考えられます。
B 申立書の要旨変更可能期間が短縮(115条) 旧制度では、6カ月の申立期間が経過するまで、申立理由や証拠などについて申立の要旨の変更が可能でしたが、新制度では、申立期間の経過前に審判官の合議体が特許権者に取消理由を通知した場合、それ以降は申立の要旨を変更することができなくなりました。
したがって、異議申立をするに際しては、採用する証拠や理由について十分に調査・検討して、取消理由が通知されるまでに有力な証拠や理由がないか確認しておくべきと思われます。