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【6】記事のコーナー〜平成20年特許法等改正に伴う特許料・
商標登録料等の料金改定について〜
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特許法等の一部を改正する法律等の施行に伴い、特許関係料金、商標関係料金が改定されました。
内容としては、中小企業等の負担感の強い10年目以降の特許料を重点的に引き下げるなど、特許料を引き下げ(平均12%の引き下げ)諸外国と比較して高額であり、中小企業等の利用割合の高い(件数で36%)商標の設定登録料等を引き下げる(平均43%の引き下げ)といったように、特に商標関係についてかなり大幅な「引き下げ」となっています。但し、法施行5年経過後に、料金関係規定の施行状況について検討を行うこととされています。実用新案・意匠については、従来通り変更はありません。
料金改正の詳細は、下記の通りとなっています。
(1) 出願料等
・特許出願(1条1項 表1号)
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15,000円
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・外国語書面出願(1条2項 表2号)
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24,000円
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・特第184条の5第1項の規定による手続 (1条2項 表3号)
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15,000円
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・特第184条の20第1項の規定による申出 (1条2項 表4号)
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15,000円
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・商標登録出願(4条2項 表1号)
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3,400円+区分数× 8,600円
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・防護標章登録(更新登録)出願 (4条2項 表2号)
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6,800円+区分数×17,200円
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・重複登録商標更新登録出願 (4条2項 表9号)
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12,000円
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※引用の各条項は、「特許法等関係手数料令」です。
(2) 特許料
1) 昭和63年1月1日以降の出願
a: 平成16年4月1日以降に出願審査請求をした出願
(改正法 特107条1項)
・第1〜3年まで毎年
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2,300円+請求項数× 200円
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・第4〜6年まで毎年
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7,100円+請求項数× 500円
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・第7〜9年まで毎年
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21,400円+請求項数×1,700円
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・第10〜25年まで毎年
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61,600円+請求項数×4,800円
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b: 平成16年3月31日以前に出願審査請求をした出願
(改正法附則12条:平成15年旧特許法)
・第1〜3年まで毎年
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11,400円+請求項数×1,000円
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・第4〜6年まで毎年
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17,900円+請求項数×1,400円
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・第7〜9年まで毎年
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35,800円+請求項数×2,800円
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・第10〜25年まで毎年
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71,600円+請求項数×5,600円
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2) 昭和62年12月31日以前の出願
c: 平成16年4月1日以降に出願審査請求をした出願
(改正法附則8条:昭和62年改正法)
・第1〜3年まで毎年
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1,500円+発明の数× 1,000円
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・第4〜6年まで毎年
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4,800円+発明の数× 2,900円
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・第7〜9年まで毎年
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14,300円+発明の数× 8,800円
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・第10〜25年まで毎年
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毎年 47,500円+発明の数×29,600円
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d: 平成16年3月31日以前に出願審査請求をした出願
(改正法附則10条:平成15年改正法)
・第1〜3年まで毎年
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7,500円+発明の数× 4,900円
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・第4〜6年まで毎年
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11,900円+発明の数× 7,400円
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・第7〜9年まで毎年
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23,800円+発明の数×14,800円
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・第10〜25年まで毎年
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47,500円+発明の数×29,600円
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(3) 商標登録料
・設定時の登録料(40条1項)
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区分数×37,600円
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・設定時の登録料/分納(41条の2第1項)
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区分数×21,900円
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・設定時の登録料/防護標章登録出願(65条の7第1項)
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区分数×37,600円
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・更新登録料(40条2項)
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区分数×48,500円
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・更新登録料/分納(41条の22項)
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区分数×28,300円
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・更新登録料/防護標章更新登録出願(65条の7第2項)
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区分数×41,800円
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※引用の各条項は、「商標法」です。
(4) 国際商標登録出願(個別手数料)
・出願料に相当する部分(68条の30第1項1号)
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区分数× 8,600円+2,700円
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・設定時の登録料に相当する部分(68条の30第1項2号)
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区分数×37,600円
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・更新登録料に相当する部分(68条の30第5項)
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区分数×48,500円
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※引用の各条項は、「商標法」です。
上記料金の適用の考え方としてご注意頂きたいのは、商標登録料の分割納付における前期分の設定登録料及び分割納付における
前期分の更新登録料が旧料金(施行日前など)であった場合、納付する分割納付における後期分の設定登録料及び分割納付における
後期分の更新登録料は旧料金となります。
また、複数年に渡る特許料(年金)を納付する場合、施行日後に納付期限となる年度分は新料金となります。
詳細は、
特許庁HPの平成20年特許法等改正に伴う料金改定のお知らせ
をご参照下さい。
今回の改正を見てみると、中小企業の技術革新とそれに伴う知的財産保護・技術戦略への意識を高めることを主眼としたものである
ことが感じられます。
我が国の中小・ベンチャー企業においては、革新的な技術を有していながら、これを知的財産として保護・活用する意識が乏しく、大企業と比べた場合に知的財産を戦略的に活用する体制が不十分であるのを現状と見ていることは、平成16年度から「地域中小企業知的財産戦略支援事業」として、都道府県等の中小企業支援センターによる、専門家を中小企業に派遣し知財を活用した「ビジネスプランづくり」や「知的財産戦略づくり」を支援している特許庁の動きからも明らかに思えます。
この背景には、今までの欧米諸国を基準として勧めてきた知的財産権に対する取り組みを、アジア諸国の台頭によりそれをターゲットに含めた知的財産戦略に対する我が国の競争力を強化するといった意味合いがあるものと思われます。
3月31日に開催された世界知的所有権機関(WIPO)の特許協力条約(PCT)同盟総会において、PCTに基づく国際出願手数料が本年7月1日より5%引き下げることが決定され(円換算で7、000円程度の引き下げ)、企業の海外での権利取得を支援すべく、引き続き国際出願料の引き下げを求めていくといった国の姿勢からも今後の海外での知的財産競争の活発化が予想されます。
昨今、テレビ番組でも産学連携による革新的な技術の紹介や高い技術力を保有した中小企業のさらなる技術力の開発などといったものを取り扱ったものを見かけます。そういった流れを活発化させることによって知的財産権への意識を高め、各国との競争力の強化へとつなげていくためにも我が国の産業を大きく底支えしている中小企業への保護を担う一環として今回の法改正がなされたのではないかと思われます。
また、商標においては中国・台湾において我が国の地名や地域ブランド等が第三者によって出願登録される事例が相次ぐなど、新たな問題が発生しています。こういったことによって我が国の企業等の現地でのビジネス展開に支障が生ずるリスクが増加しています。
このような問題を踏まえて、諸外国と比較して高額な商標の登録料を引き下げることにより、今まで意識の薄かった分野で「ブランド」意識を高め、前述のような問題と取り組んでいくことが大きな課題となると思います。
ここ数年の知的財産権に対する意識の推進・注目度の高まりは目覚しく、国際規模での競争の活発化による外国出願の増加は日々の事務実務を行っていても感ずるところがあります。そういった状況に則するための法改正も積極的に行われているようで、制度改定による諸事変更、外国出願等への対応のための実務の複雑化についていくのに精一杯ですが、今後、きめ細かい対応を心がけていけるようにしたいと思っています。
最後になりますが、当事務所の近況を少し・・・
事務経理Gの小橋さんが退職され、関川さんが入所されました。ここで、「あれ?」と思われた方は「溝上法律特許事務所”通”!」です(元関係者という話もありますが…)。関川さんは以前事務所に在職され、一旦退職されましたが、ご縁があり、また一緒にお仕事をして頂くこととなりました!
また、特許商標Gの竹内さんに3人目のお子さんが誕生されました!!少子化社会が懸念される中、大変喜ばしいことです!
この原稿を書いているのが締め切り間近なので、各人のコメントは次回の事務所報担当者にお任せすることとします。
梅雨の季節が終わり、毎日、猛暑の日が続きますが「暑さニモマケズ」頑張って行きたいと思います。
今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
(H20.7作成: 事務経理部 中野 博美)
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−「まねきTV」事件東京地裁判決−
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→【5】記事のコーナー :技術調査について
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