発行日 :平成15年 1月
発行NO:No10
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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   【3】記事のコーナー〜ノーベル賞と特許について〜
昨年は、暗いニュースの多い年ではありましたが、明るいニュースもありました。
その一つはノーベル賞の受賞で、一昨年に引き続き日本人として2名の方が、ノーベル賞を受賞されま した。しかも、その賞は化学賞と物理学賞であり、日本は工業立国ともいわれてきましたが、新らためて 技術レベルの進歩に思い知ら示められたところです。

受賞年 分 野 受賞者名 出願数
'02 化学賞 田中 耕一 12
'02 物理学賞 小柴 昌俊
'01 化学賞 野依 良治 66
'00 化学賞 白川 英樹 32
'87 医学・生理学賞 利根川 進
'81 化学賞 福井 謙一
'73 物理学賞 江崎 玲於奈 19
'65 物理学賞 朝永 振一郎
'49 物理学賞 湯川 秀樹

このような自然科学分野のノーベル賞は、学問的あるいは産業的に波及効果の大きい研究業績が受賞対象とされていますが多くの受賞者が特許出願を行っていることが分かります。 ノーベル賞と特許との関係については、詳しくは個々の受賞者の研究分野・内容を考慮しなければなりませんが、優れた研究業績を上げたノーベル賞受賞者と特許との関わりが少なからず見てとれることは、研究成果の社会的な活用を図るという観点から大変興味深いことといえます。

ところで、特許とはどのようなものでしょうか?
特許や実用新案登録等を近年知的財産とか無形財産と呼ばれていますが、その中の特許についてわかり易い表現でまとめてみました。

発 明 の 種 類
自然法則を利用した技術思想の創作(筋道の通った説明が必要で、技術的な工夫が創作のポイントとなるもの)で、構造や組合せからなる物の発明、方法の発明、物を生産する方法の発明。
特 許 の 要 件
出願前に公然知られたり、実施されていたり、刊行物に記載されていたり、これ等から容易に考えつくものは特許を受けることができない。言いかえれば、過去の技術の中の同一のものでもなく、過去の技術の単なる組み合わせでもないこと。
  出願時の記載項目
(1) 特許権主張(特許請求)の範囲
(2) 従来の技術
(3) 従来の技術の問題点(発明が解決しょうとする課題)
(4) 問題点(課題)を解決するための手段
(5) 発明の実施の形態(実施するための具体的説明、構成の理由や作用の説明)
(6) 実施例(1例を具体的に挙げて表、図面等での説明)
(7) 発明の効果(問題点の解決)等
  特許権の範囲
(A) 物の発明:その物を生産、使用、譲渡、貸し渡し、輸入、譲渡や貸し渡しの申し出、譲渡や貸し渡しのための展示行為。
(B) 方法の発明:その方法を使用する行為。
(C) 物を生産する方法の発明:その方法を使用し、その方法により生産した物を使用、譲渡、貸し渡し、輸入、譲渡や貸し渡しの申し出、譲渡や貸し渡しのための展示行為。
(D) 上記ABCの特許侵害に用いられることを知りながらその専用部品又は重要部品を供給する行為、あるいはネットワーク上で特許されたソフトウエア等の情報を無断で供給する行為。
  特 許 の 公 開
出願の日から1年半後の出願公開公報と特許時の特許公報。
  特許権の期間
特許出願の日から20年。


以上
(H15.1作成: 特許商標部 宮本 勲)


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