発行日 :平成14年 1月
発行NO:No8
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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   【1】論説〜特許調査について〜
(1)何故、特許調査が必要か?

わが国では年間約50万件の特許・実用新案が出願されていると言われていますが、これから新製品を開発し、その製造・販売をしようとするとき、他人の持っている特許権や実用新案権を侵害しないようにすることは不可欠です。また、新製品の開発に際し、何らかの発明をして、特許として出願した場合に、同じ内容の特許が先に出願されていると、その発明は特許として権利化されず、逆に他社が独占権を持つこととなってしまうので、開発自体が時間と費用の無駄になってしまうこともあります。  
そこで、新製品の開発をしようとする場合や新製品開発の結果、発明をした場合は、先に出願されている特許・実用新案の有無を調査して、確認しておくことが必要となります。特に、新製品の開発をしようとする場合に前もって調査をしておくと、開発予定分野の技術の動向を踏まえた開発が可能となるので、より望ましいと言えます。

(2)特許調査の対象となる資料

わが国の特許を調査する際に通常用いられている主な資料は、@公開特許公報、A特許公報、B公開実用新案公報、C実用新案登録公報です。   
「公開特許公報」「公開実用新案公報」は、出願してから1年6カ月経過した出願を審査の有無や結果とは無関係に公開した資料です。実用新案は、平成6年出願分から無審査で登録されるようになりましたので、「公開実用新案公報」は、平成5年出願分までしか発行されていません。「公開特許公報」には、特許の名称、特許分類コード、出願日、出願番号、出願人、発明者、出願時点の明細書、図面、要約書などが掲載されています。なお、特許分類コードについては、わが国の場合、1980(昭和55)年1月から国際特許分類(IPC)が採用されており、それ以前は、日本特許分類(JPC)に従って分類されています。    
「特許公報」「実用新案登録公報」は、出願されて審査請求のあった特許や平成5年以前出願の実用新案を審査官が審査し、拒絶理由がなかったものを公告した資料です。1996(平成8)年1月からは、特許又は実用新案として登録された後に公報が発行されるようになりましたが、それ以前は、登録前に公告する出願公告制度があり、「公告公報」と呼ばれていました。「特許公報」「実用新案登録公報」には、「公開特許公報」と同じ事項に加えて、登録日や特許番号(実用新案登録番号)が掲載されていますが、明細書、図面、要約書については、登録時点のものが掲載されています。なお、特許と実用新案は、それぞれの法律で規定されている保護対象が異なっていますが、技術的工夫を対象とする点では同じであり、保護対象もほぼ重なっていますので、両方とも調査する方が安全です。

(3)特許調査の種類について

特許調査は、その目的によって、調査の手法や対象となる資料が異なりますが、次のように分類することが出来ます。
(1) 技術動向調査
商品企画や研究開発の段階で、技術動向や技術レベルを把握したり、他社の研究開発状況を調べたりするために行う調査。
(2) 他社権利調査
設計段階や出荷前に、商品が他社の特許権・実新案権を侵害していないことを確認するために行う調査。
(3) 特許無効資料調査
特許権者から侵害警告を受けたり、侵害の虞がある特許について、その特許が出願される以前に発行された資料を探し出すために行う調査。
(4) 出願前調査
発明や考案について、これから出願しようとす るときに、権利となる可能性の有無や、どのような権利範囲とすれば良いかを調べるための調査。

(4)特許調査の方法について

「公開特許公報」、「特許公報」、「公開実用新案公報」、「実用新案登録公報」は、特許庁工業所有権総合情報館の公衆閲覧室、各地の発明協会、近畿経済産業局特許室、大阪府立特許情報センター等で閲覧又は検索が可能です。また、これらの機関や特許事務所、検索代行業者に有料で調査や検索の代行を依頼することも可能です。    
検索の方法としては、分類整理された公報を手めくりで検索して、目的の公報を探し出すマニュアル検索とコンピュータを利用して、IPCとか技術用語等の条件を指定して、希望する公報を抽出するオンライン検索があります。    
マニュアル検索は、順々にタイトルや図面を見ながら判断し、探しているものに関係しそうな公報については、その場でその公報の詳細を閲覧できるので、調査漏れが少なく、調査漏れが許されない他社権利調査や公報の片隅に記載されている公知例を探し出そうとする特許無効資料調査に適しています。 オンライン検索は、大量の情報から短時間で欲しい情報を得ることが出来るので、時間や人手がかからない点は有利ですが、検索条件によっては、必要な情報が漏れてしまったり、逆に不必要なノイズが入ったりしてしまうので、データベースの特徴を把握して行うことが肝要です。オンライン検索では、CD-ROM公報やPATOLISと呼ばれるデータベースを利用する方法が有名ですが、最近では、特許庁のホームページでも各種公報のデータベースが公開されていますので、インターネットに接続して、特許庁ホームページにある「特許電子図書館」で検索するのが最も簡便と言えます。URLは、 http://www.jpo.go.jp/indexj.htm です。「特許電子図書館」では、項目ごとにキーワード等を入力して検索出来るようになっており、その場で検索結果の公報も閲覧することが出来ます。   

(H14.1作成 : 弁護士・弁理士 溝 上 哲 也)


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