発行日 :平成11年 1月
発行NO:No2
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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【3】記事のコーナー〜平成11年1月1日から特許法等が改正されます〜
平成11年1月1日から特許法等が改正されます
主な改正点は以下の通りです。

工業所有権の損害賠償制度等の見直し
・民事的救済の見直し
(1) 権利者が侵害品を譲渡(有償、無償を問わない)した数量を立証した場合には、これに権利者の単位当たり利益額を乗じた額を、権利者の実施能力を超えない限度において、損害額と認定できるようになります。
これにより、特に廉価な粗悪品による侵害の場合には、相当程度の賠償額の認定がなしうることになり、損害賠償額の大幅な引き上げが期待できます。
(2) 損害額とされる実施料相当額を決定するに際して、これまで通常一般の額が基準となっていたのを、そのような額に限らず当事者間の具体的事情を損害賠償の算定に反映できるようになります。
・刑事罰のあり方
(1) 法人に対する罰則の上限が、従来の500万円から1億5千万円に引き上げられます(実用新案権、意匠権については1億円)。
(2) 特許権、実用新案権、意匠権の侵害に対して、商標権の侵害と同様に告訴がなくても処罰できる非親告罪となります。

創造的デザインの保護強化
・創作容易性の水準の引き上げ
意匠の登録が認められない創作容易の判断基準が「日本国内において周知(=誰もが知っている)」から、「国際的に公知(=どこかにある)」に引き上げられます。
・部分意匠制度の導入、組物の意匠の適切な保護
(1) 従来意匠法の保護対象とはされていなかった、茶碗の糸じり、皿の縁等の物品の部分も登録できるようになります。但し、部分意匠を導入した結果、機能的形状が意匠権によって独占される弊害を防止するため、機能にのみ基づく部分意匠は保護されません。
(2) 組物の意匠の保護対象品目が拡大され、オーディオ機器セット、ゴルフクラブセット、光ディスク再生機セットなどの登録が可能となります。また、登録要件も緩和され、組物全体として創作性があれば、登録が認められるようになります。
・類似意匠制度の廃止、関連意匠制度の創設
意匠権侵害訴訟においては類似意匠に基づく侵害の成否は訴訟の対象にならず、類似意匠の独自の効力はほとんど認められていなかったので、類似意匠制度を廃止し、通常の意匠権と同様の効力をもつ関連意匠制度が創設されます。
なお、関連意匠は、本意匠と同日に出願する場合に限って登録が認められますので、注意が必要です。

早期保護の実現
・電子手続きの対象拡大、見直し
磁気ディスク(FD)による出願手続きは原則として廃止されます。
意匠、商標についてもオンライン手続が導入されます(平成12年1月1日から)。
・特許料の引き下げ
10年目以降の特許料が平準化されました(平成10年6月1日から施行済み)。

その他の改正事項
(1) 国と民間等との共有に係る特許権等の特許料は、従来、全額納付する必要がありましたが、持分の定めがあるときは、民間等は自らの持分に相当する額を納付すればよくなります。
(2) 特許出願に係る願書等の記載事項より「発明の名称」の記載が省略されます。
(3) 商標についても、設定登録の際に、登録証が発行されるようになります。

(H11.1作成 H16.4.1修正: 特許商標部 宮崎 勲)


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