発行日 :平成9年 8月
発行NO:No1
発行    :溝上法律特許事務所
            弁護士・弁理士 溝上哲也
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   【2】論説〜ブランドの保護について〜

「ブランド」(brand)の語は、家畜の押した「焼き印」から始まった言葉で、和訳すると「商標」という意味になります。しかし、現在では、「偽ブランド」や「ブランド商品」というように商標という意味にとどまらず、「有名品」や「高級品」という意味合いに使っていることがたくさんあります。

「有名ブランド」の場合、高価・品薄状態を維持することが“価値”であるため、これまでに幾度となく「模造品」や「不正規流通品」が出現して、民事訴訟での差し止め・損害賠償や刑事告訴による逮捕・差押、税関での輸入差し止めのなされたことが報道されています。また、「無名ブランド」であっても、それが商標権として登録されている限り、「有名ブランド」と同様に、差し止めや損害賠償の問題は日々発生しています。

最近、知的所有権という言い方が広く行なわれており、いわゆる「ブランド」がどのような知的所有権によって、保護されているか問題となりますが、知的所有権という種類の権利がある訳ではありません。

知的所有権とは、人間の知的生産物を保護する権利の総称で使われるものであり、「特許」「実用新案」「意匠」「商標」及び「著作権」の各制度とその他の知的所有権を守る法律をひとまとめにした言い方です。知的所有権は有体物を対象としたものではないので、無体財産権と呼ぶこともあります。

知的所有権を守る法律には特許法、実用新案法、意匠法、商標法のほか、不正競争防止法や商号を保護する商法等も含まれます。また、半導体集積回路の回路配置に関する法律や種苗法もあります。知的所有権のうち、「特許」「実用新案」「意匠」「商標」など工業上利用される権利のことを特に工業所有権と呼んでいます。

例えば、ブランドは、これを類型化して把握すれば、次のような知的所有権で保護されていると言えます。社会的にもブランドに対する権利意識は高まっており、今後、専門家である弁護士や弁理士と連携をとって、その保護を図っていくことが必要と思われます。

なお、パブリシティの権利とは、自己の肖像などを対価を得て利用させる利益のことを言い、具体的な法律の規定はありませんが、解釈上、その保護の必要性を認められています。

イ. 著名ブランド 商標法
不正競争防止法(2条1項1号)
不正競争防止法(2条1項2号)
ロ. 周知ブランド 商標法
不正競争防止法(2条1項1号)
ハ. 無名ブランド 商標法
ニ. キャラクターブランド 商標法
著作権法
ホ. CIブランド 商標法
商法(商号権)
ヘ. タレントブランド 商標法
パブリシティの権利

(H9.8作成: 弁護士 溝上哲也)


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