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外国特許出願について
(1)特許権の属地主義
特許制度は、各国の国内法制の一環として設けられているため、わが国において取得した特許権は、日本国においてのみ有効であって、その領域を越えて外国にまで及ぶことはありません。したがって、外国においても特許の保護を受ける必要があれば、それぞれの国において特許の出願をしておかなければなりませんが、このように特許の効力が取得した国の領域に限定されることを属地主義と呼んでいます。
(2)特許に関する国際条約
属地主義により、1つの発明について保護を必要とする国の数だけ特許権を取得しなければならないとすると、各国において、外国人にも特許の保護を認めてもらうことがそもそも必要となり、その手続きや要件もできるだけ統一された内容や取扱となるよう調整することが国際的に要請されてきます。そのために締結された主な国際条約として、工業所有権の保護に関するパリ条約(1883年3月20日調印)と特許協力条約(1970年6月19日調印)があります。
パリ条約では、工業所有権の保護に関して、外国人を自国民と平等に取り扱うという内国民待遇の原則や自国に出願した特許を外国に出願する場合、ある条件を満たせば自国に出願した時に外国でも出願したように取り扱う優先権の制度などが定められています。
また特許協力条約(PCT)では、多数国での特許の取得を容易にするために、加盟国の中で特許を得ようとする国を指定国として記載した国際出願の手続きやその国際調査や予備審査などの手続きが定められています。
(3)外国出願はいつまでにする必要があるか?
特許については、一部の国を除き、先に出願した者に付与することが原則(先願主義)とされているため、国内出願であれ、外国出願であれ1日も早く出願することが望ましいことは言うまでもありません。しかし、最初に特許を出願するときに今後特許を取得する必要があると思われるすべての国に同時に出願しておくことは、出願準備の上からも、費用の点からも実際的ではありません。外国への特許出願は、国内に特許を出願してから出願国を選定し、出願の準備を始めるのが通常です。実務上は、このような場合、前述したパリ条約の優先権の制度を利用して、外国出願をしています。
すなわち、パリ条約の第4条は、特許について他の国に出願するときに最初の出願日から12カ月の間は優先権を有する旨を定めているので、自国に出願した特許と同一内容の外国出願を1年以内にすると、その外国での出願についても自国で出願した日に出願したものとして取り扱われます。したがって、わが国に特許出願した発明を外国に特許出願する場合には、この優先権の利益を享受できるように、日本に出願した日から1年以内に外国出願をする必要があります。
なお、上記の優先期間が経過した後にも、出願日の遡及のない外国出願をすることはできますが、日本での特許出願は、通常1年6カ月で公開されますので、公開された後は、公知技術となってしまいますので、遅くともこの公開の時までに外国出願をしておく必要があります。
(4)出願国及びルートの選定
外国に特許を出願する場合に、どこの国で特許を取得するのかを先ず決めておく必要があります。通常は、その発明を使用したり、発明品を製造・販売する可能性がある外国を候補国として、対象国の事業規模、市場性、産業発展の度合いや政治経済の状況、競合生産国か否かという側面、その発明の技術内容やその属する技術分野の状況という側面、特許取得の難易度や費用の多寡などの側面をそれぞれ考慮して、候補国の中から選定することになります。
出願国が決定したならば、次にどのようなルートでそれぞれの国に特許出願するのか検討する必要があります。出願ルートとしては、次のようなルートがありますが、いずれのルートの場合も上述した優先権を主張した出願をすることは可能です。
A 各国に単独で出願するルート
B PCTに基づく国際出願をするルート
C EPCを利用するルート
このうち、各国に単独で出願するルートは、翻訳や優先権証明書を取得するなどの準備をした上で、日本の特許事務所を通じて、出願国の現地代理人に出願を依頼し、各国の特許庁に当該国の言語で出願することになります。
また、PCTに基づく国際出願をするルートは、PCTで定められた方式で、通常は、日本の特許庁に対して、出願国を指定して日本語で出願することになります。PCTに基づく国際出願の場合、国際調査がなされた後、国際公開され、原則として、出願人はその優先日から20カ月を経過するまでに、各国特許庁へ翻訳文を提出して、それぞれの指定国に対する国内出願への移行の手続きをしなければならないとされています。 EPC(ヨーロッパ特許条約)を利用するルートは、日本の特許事務所を通じて、加盟国の現地代理人に出願を依頼し、ヨーロッパ特許庁(本部ミュンヘン・支所ハーグ)に加盟国を出願国として指定した、英文、独文または仏文明細書により出願することになります。
なお、これらのルートを組み合わせて出願することも可能ですが、出願国が数カ国程度であれば、費用の点を考慮して、通常は、Aのルートが多用されています。
(H13.6 作成 弁護士 溝上 哲也)
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