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   特許出願後の手続と異議・審判
(1)特許出願後の手続

特許権を取得するためには、出願人や発明者などを表示した「願書」及び権利を取りたい技術内容を 詳しく記載した「明細書」、「図面」、「要約書」をそれぞれ作成し、特許庁に提出する必要があります。このように特許を取得するために書類を提出することを「出願」と言い、これらの書類が出願書類として受け付けられると、特許出願2003年第○○○○号という「出願番号」が付与されます。出願は、通常、特許事務所のパソコンと特許庁のコンピュータを電話回線で接続し、出願データを送信する方式で行なっていますが、所定様式の書面を郵送する方式で行なっても構いません。但し、郵送の方式を選択した場合は、データエントリーフィー(電子化手数料)が後日請求されることになります。
特許出願後の手続は、だいたい 別紙のようなフロー に従うことになります。出願から特許権取得までの期間は、技術分野にもよりますが、出願と同時に審査請求を行なった場合、通常は、1年〜2年くらいです。
出願が受け付けられると、特許庁において、書類の形式や手数料に不備がないかについて方式審査がなされますが、方式に不備がある場合は補正しなければなりません。
特許出願後、1年半を経過するとすべての出願が公開されます。出願の公開は、「公開特許公報」が刊行されることによってなされ、出願が公開されると、特許公開2004年第○○○○号という「公開番号」が付与されます。
特許出願されたものは、全てが特許となるかどうかの審査(実体審査)をされるわけではなく、出願人又は第三者が審査請求料を払って出願審査の請求があったものだけが実体審査されます。審査請求は出願から3年以内であれば、いつでも誰でもすることができますが、3年以内に審査請求がなければ、出願は取り下げたものとみなされ、以後権利化することはできません。出願審査の請求があれば、特許の要件を満たしているかについて、当該技術分野の特許庁審査官が審査を行います。
この実体審査では出願された発明に特許を与えてもよいものなのかどうかの判断が行われます。特許を与えるべきでないと判断された場合は、引例や理由を記載した拒絶理由通知が出願人に送られ、審査結果に対して意見を述べる意見書や出願内容を補正する補正書を提出する機会が与えられます(補正においては、発明の内容を引例を避けて限縮することがよく行なわれています)。
拒絶理由が通知されずに特許要件があると認められた出願及び意見書や補正書の提出の結果、拒絶理由が解消されたと認められた出願は、特許として登録すべきものとされ、「特許査定」という処分結果が通知されます。逆に、出願人が意見を断念し、または意見書や補正書によっても拒絶理由が解消しないと判断されると「拒絶査定」という処分結果が通知されます(もう一度拒絶理由通知が送られる場合もあります)。

(2)特許公報の発行と異議申立制度

この「特許査定」がなされた後、出願人が特許料を納めれば、特許庁長官による特許登録原簿への特 許権設定の登録がなされます。この時点で、法的に特許権が成立して、特許第○○○○○号という特許番号が付与され、発明が権利として保護されます。
その後、出願人に特許証が送付され、特許された内容を公示する特許公報が発行されます。そして、特許権は、出願日から20年経過後に消滅することになります。
なお、平成15年12月31日までは異議申立の制度があり、特許公報が発行された日から6ヶ月間は、第三者から特許の異議申立がなされる可能性がありました。
特許異議申立制度は、特許公報に掲載された特許に対して異議の申立があった場合に、特許庁が自らの処分の適否を再度審理し、瑕疵ある場合にはその是正を図ることにより、特許に対する信頼性を高めることを目的とする制度で、特許異議の申立の審理は、三人または五人の審判官の合議体によって行われ、審理の結果、特許処分に瑕疵がないと判断された場合は特許権の維持の決定が行われていました。
一方、特許処分に瑕疵があると判断された場合は、特許権者に取消理由を通知して特許権者の意見を聞き、その上でやはり取消理由が解消されていないと判断された場合には特許権の取消の決定が行われていました。なお、維持の決定、取消の決定の判断に対して不服がある場合には、出願人、利害関係人は審判請求、東京高裁への出訴等の手段で更に争うことができたので、現在も異議申立の適否についての争いが残っています。

(3)拒絶査定と不服審判請求

特許出願に対して、審査官から通知された拒絶理由に対して、意見書や補正書を提出して争ったにも かかわらず、審査官が拒絶査定を行った場合には、拒絶査定の送達を受けた日から30日以内にその取り消しを求めて審判を請求することができます。これを、通常、「不服審判請求」と呼んでおり、従前の異議申立と同様に三人または五人の審判官の合議体によって、拒絶査定の適否について審決がなされます。
そして、この審決の判断に対して不服がある場合には、出願人は、審決の送達を受けた日から30日以内に東京高裁へ審決取消の訴訟を提起することができます。
なお、不服審判を請求しない場合は拒絶査定が確定することになります。

(4)無効審判と訂正

特許権は、第三者に侵されることのない強力な権利ですので、その権利が本来特許を与えるべきでな いものに与えられていることが判明したときは、その権利を無効とすることが妥当です。このような要請から、本来拒絶査定されるべき他人の出願が誤って特許されているときには、この特許を無効にする審判を請求することができるとされています。この無効審判の請求は、特許権消滅後も請求できるとされており、審理の結果出された審決に対しては、不服審判請求と同様に東京高裁に審決取消訴訟を提起することができます。
特許権が成立した後に、出願人が明細書とか図面の記載に誤りや、不明瞭な記載があったり、あるいは特許請求の範囲が広すぎて無効の原因があることに気づいた場合に、自発的にこれらの記載の訂正を求めることができます。既に、無効審判が利害関係人から請求されているときは、その無効審判の手続の中で、「訂正請求」として、まだ無効審判が請求されておらず、これを未然に防ごうとするときは、「訂正審判」として、請求することができます。

以上
(H15.5作成 弁護士 溝上 哲也)

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